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Status Message:周回遅れのビール日記(順不同)

旅行とか、いろいろやりたいこと

今は思うんだよね。
やれるときにやっておかないと、結局できないって。
 
20代はバイト生活だったから、旅行は行きたくてもお金がなかった。
みんなが行く旅行とやらをしてみたいとパンフレットをもらったりしたけど、見尽くしたあげく、「物が残るわけでもないのに何万円もかかる!」と断念。
 
でもいつかは、旅行なんかに行ったりして、悠々と引退生活を送れる――と漠然と思ってた。
若いときの未来は未知数だから、今バイト生活だって、何が起こるか分からないもんね。
 
年をとると、「何が起こるか分からない」のが違う意味になってくる。
 
うちの父の親族、長兄伯母は亭主関白な長兄伯父とずっと暮らしていた。
実は大恋愛の末に周囲の反対を押し切って伯母が伯父のところに嫁いだらしいけど、何十年も連れ添えばため息が出ることもある。
長兄伯父は長兄伯母がいないとダメで、伯母は友達と旅行に行くというようなことはできなかった。
介護していた長兄伯父ががんになり、もう長くないとなった頃、長兄伯母は「独りになったら旅行に行く」と思っていたし、伯父が亡くなると「これからは旅行に行きまくる」というようなことを言っていた。伯母は旅行が好きだったけど、行けなかったのだ。
 
でも長兄伯母はかなり年をとって、足腰も弱くなり、杖が必須で、それでも長距離は歩けない。長距離どころか、立ったり座ったり、ほんの短い距離を歩くのも難儀。
 
旅行って・・・・・・
 
自分が伯母の年まで生きられるかどうか、分からない。
今は粗食の時代の人が豊かな時代の老後を過ごして、誰でも80代まで生きるとは言えない。老年前の「中高年」くらいでがんなどで亡くなる人のニュースをよく聞く。有名人、芸能人、「若いのにねぇ」というセリフがもう、あまり頻繁になって驚きでもなんでもなくなってきた。
 
行けるうちに行かないといけないのだ、なんでも。
やれるうちにやらないといけないのだ、なんでも。
分かっていてももちろんできないこともある。でもできるだけ、やっておくべきなのだ。
 
 
9月末に退職した職場Bの以前の上司が、亡くなったというのを知った。
喪中ハガキが奥さま名義で届いたのだった。10月中頃だったらしい。
 
確かに激やせしていて、どうしたのかと思ったら胃がんで手術したということだった。
「来なくてもいいのに。家で休んでいればいいのに」と言う人もいたけれど、わたしはそうは思わない。仕事でもしてないと気持ちも体も弱る一方だもの。少し気晴らしになるのだ。行けるなら行ったほうがいい。
 
そうか、亡くなったんだ・・・・・・
 
 
がんは治療で体力を奪われる。
必ずしも治らない末期も末期とは限らないので、治療を始める。
治療をしながら何かをしたいと思っても、できない。
 
治療しないで好きなことをして自然な死期を待つこともできる。
でもその決断はきっと難しい。治療をしたら、半年永らえるかもしれない。1年永らえるかもしれない。もしかしたら何年も永らえるかも。
 
だからがんになる前に、できることは少しでもやっておくべき。
 
 
脳卒中で麻痺する前に、事故で障害が残ったりする前に、家族が要介護になって身動きできなくなる前に、職がなくなって生活に困窮する前に、とにかく何かが起こる前に。
 
 
亡くなった元上司は57歳だった。
もうすぐ60、定年。そのあと今の会社で嘱託で働けるかといったら、無理かな――今は会社も苦しいから。
どこかほかで仕事を探して、見つかったら5年くらい働けたらいい。
退職したら妻と旅行に行こうかな。その前に退職した別の元上司みたいに。
 
なんて考えていたに違いない。去年までは。




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