ミステリー・イン・パラダイス
「ミステリー・イン・パラダイス」が好きだった。
Season2まで。
Season1でイギリスから南の小さな島に左遷されてやってきた、堅物のリチャード。
イギリス人のステレオタイプを表現するためか、今でもイギリス人は紅茶に目がないのか、紅茶をこよなく愛し、南国でもスーツを脱がないリチャード。
南の島のルーズで、ドがつく田舎なシステムに辟易しながら、いつも本格イギリスミステリ風な推理で謎を解く。
この作品はよくできていると思ったものだ。
今どき、ホームズやポアロやその他往年の本格推理探偵たちのような、頭脳で勝負する推理などできない。
科学捜査チームがわらわらやってきて、現場の遺物を残さず集めていき、分析するとかなりのことが分かってしまう。
推理しなくても防犯カメラがそれこそどこにでもあって、「防犯カメラの映像を集めろ」となるし、画像が不鮮明なら「解析しろ」だし、多少不鮮明でも優秀な顔認識ソフトが特徴を比較してくれるし――
推理の出る幕がないのである。
ところがこの南の島では、素晴らしい科学捜査チームはいない。署には制服警官2人(現地人)、刑事2人(現地生まれの女性とリチャード)だけなのだ。
DNA鑑定を頼んでも、「本土(だったか隣の大きな島だったか)に頼んでます。結果が出るのは3日後です」。だって船が出ないとあちらに届かないのだもの。
防犯カメラなんてものも、よほどのメインストリートか大きな建物でないと、ない。
だから純粋に推理で解くという設定が可能なのだ。頭脳で勝負できるのだ。
「名探偵モンク」は、潔癖症な精神障害が推理の役に立つという本格推理ものだけれど、やっぱり「CSIがいたら解決するのでは?」と思う話も(特に後半)多かった。
リチャードはタイムスリップしたも同然なのだ。科学捜査のあまりなかった時代に。
これは舞台設定の勝利だと思ったものだ。
さらにこの舞台、南の島らしくて、とてもいい。
いわゆる絶景ミステリーのジャンルに入れられる。南の島の木々や海や夕日も楽しめるのだ。ついでに南の島時間みたいなムードも。
しかしリチャード役のベン・ミラーは、せっかく人気のあるドラマだったのに、1年の半分も南の島で撮影に縛られるのを嫌って降板。
幼い子もいて、家族と共に過ごせないのがつらかったそうだ。子供連れで南の島には行けないということで、妻子は撮影には同行しなかったという。
で、Season3が始まってみたら、なんとリチャードは第1話ではなばなしく死んでしまった。その謎を解いたのが、殺されたリチャードの生前の誘導と、新刑事ハンフリー。
Season3はちょっと録画に失敗したこともあって、少し見ただけ。
新刑事は悪くないけれど、なんとなく遠のいていた。
久しぶりにSeason4をチラ見したら、なんかメンバーが総入れ替えになっていて驚いた。
かなり気に入っていたドウェインがまだいたのが唯一の救い。
新刑事が惚れた設定になっていたカミールまでいなくなっているのはどうして?
(カミールはSeason1からいた女性刑事。リチャードといい感じになりかけていたところで、ベン・ミラー降板だった。その後、新刑事は早々と「カミールを好きになった」と制服警官ドウェインに告白。だから降板は驚いた。)
(ところで制服警官ドウェインはそのままだけれど、もうひとりの制服警官フィデルは、Season4の冒頭でほかの島に栄転したという設定で、もういなかったらしい。)
カミールの代わりには別の女性がいた。
その女性とハンフリーのコンビがなんとなくしっくりいってなかったというか、いってたんだろうけどわたしの好みでなかった。
そこで見る気をなくしてしまった。
そのうちいつか、連続放送などをしていて、自分に暇があってそれをつぶしたくて、というときが来たら見てみるかも。
ハンフリーは嫌いじゃないので。