Bittersweet Maybe - Bubble Talk -

Status Message:周回遅れのビール日記(順不同)

諦めと安堵(シリーズ:翌4月からの仕事)

なんかそういうタイミングで、嬉しいのか寂しいのかわからない判断に至った。
 
つまり、今わたしはフリーな立場で雇われている。
同じ職場でも、パート的な人や契約社員的な人もいる。
パート的な人にしろ、契約社員的な人にしろ、正社員的な人の下にいるわけだ。若い人、若くないけど未だに現場指揮官の人の正社員的な人たちが入れ替わり立ち替わり、異動で消えたり来たりするけれど、パート的な人と契約社員的な人はそのままそこにいて、新しい正社員的な人に仕える。
 
これまで自分のフリーな立場について、わたしは「そのほうが楽しい」と考えていた。
自分の好きなように企画して、それを実行できる。些細な工夫でしかないけれど。
でももしこれが契約社員的な立場だったら? 正社員的な人の手足として、お考え通りに仕事をしなければならない。
それもせっせとしなければならない。脳みそは要らないけど(正社員的な方にお任せだから)、体力と気力と馬力は要求される。正社員的な方たちよりもいっそうの働きを要求される。
パート的な立場だったら――たぶん、そのほうが気楽ではあるだろうけれど、下っ端感は半端でないだろう。すべて「正社員的な人の意向に従うしかない契約社員的な人の意向に従うしかない」わけだから。
英国貴族でいえば、正社員的な人たちが貴族。契約社員的な人たちが、宮廷には出入りできない地方の郷士たち――つまりジェントリ階級。そしてパート的な人たちは、ミドル階級庶民――牧師さんとか学校の先生とか、貧民街に住んでいるわけではないし、農夫でもないけれど、決してお金持ちというわけではない人々。
 
それよりは、フリーな立場のほうが断然楽しいと思っていた。
宮仕えのつらさもほとんどないし、仕事を自分で仕切れるのがいい。
 
でもここにきて、もしかしたら契約社員的なポストが1つ空くかもしれない、という情報を得た。
――このフリーな立場の業務が来年度は激減するかも、ともともと言われている。
来年度激減はしなくても、いずれ尻すぼみになくなっていくであろうことは予想されている。
――いいかも。契約社員的ポスト。
 
自分がそこに入れるとは限らない。というか、無理かも。学歴とか高くないし。
虎視眈々と求人情報をチェックしておいて、出たらすぐさま申し込む、他の人とちゃんと競争して合格しなければ入れない。
 
でも、でもね。
狙うだけ狙ってみようかな?
 
そこに前回くどくど言っていたような、自分の状況の変化が相まって、「悪くないな」という気持ちが強まった。いざそう考えたら、すぐに「いいね」に変わっていった。
 
これはわたしの「気持ちの転換点」だった。
 
年を悟ったのだ。
今さら正社員にしてくれる会社はそうないだろう。契約社員でも、今と比べて安定する。契約社員だと絶対クビにはならないとは言えないけど、でも今より安定する。
それで御の字じゃない?
――と、そう思うくらいに、自分が年をとったということだ。
 
若い頃は、「これから何十年もその職場で働くの?」と思うとうんざりしたけれど、今は「60までだとして、あと15年か」――「そのくらいならねー」
――つまり、もう年なのだ。どうせ先は長くないのだ。これまで10年働いたサービス業、10年フリーで働いたこの職場と、9年派遣で働いたダブルワークの職場。15年て、もう1サイクルだけじゃん。
 
そんなふうに「もうそれでいいや」と思えるのって、自分も年だったんだなぁと悟らされた。
 
いったん気持ちが傾いたら、急速に「それでいいや」→「それがいいや」と思えてきた。
今の仕事は楽しいけど、大変だもんなぁ。やりがいは減っても、それって楽になることもついてくるよなぁ。言われたとおりやってればいいだけだもんね。
家で準備したり、資料作ったり、自分の能力が足りないのじゃないかとハラハラしたり、うまく仕事を回していこうと心を砕いたり、そんなこともうしなくていいんだもんね。
 
なりたい。契約社員的な人に。
 
いつ空きがでてもすぐ分かるように、求人情報を頻繁にチェックすることにした。
そのときのために、ハローワークに求人登録しに行った。
 
ハローワークは遠いので、ワークサポートというところに行ってみた。
ハローワークにワークサポート、その他もいろいろなセンターがあると分かった。
便利だけれど――かなりの数の人が働いてるね。全部合わせたら相当な数。
この人たちのうち、正社員的な人はどれだけいるんだろう? 絶対契約社員的な人、多いよね。あとパート的な人もいるかもしれない。
 
――思ったよりこういう仕事はたくさんあるのかもしれない。
 
もうとにかくどこでもいいかも。契約社員的な空きさえあれば。
ワークサポートで働きたい。
とにかくなんでもいい。ちょっぴり公的機関なところで契約社員的なポストに就きたい。
この年でろくに正社員にもなってこなかった自分が、今望める最高の位置じゃない?
 
あまり今の職場にこだわらず、とにかく何かあったらもうそこでいい。そこにしよう。
 
ここまで転ぶのは本当に短い時間だった。
あっという間だった。それには年に気づいたというのも大きいと思う。





×

非ログインユーザーとして返信する