最初の日の日記(シリーズ:仕事)
わたしの面接時、部長第二補佐は「実務経験がどのくらいあるか」「いろいろな部署を全部渡り歩いたか」と突っ込み、もっと実務経験豊かな男性を居心地良部に入れたい、(わたしのことは居心地悪部に入れたい)、と期間を引き伸ばしてまで面接していた。
初日、どれほどの人が選ばれたのかと思ったら、「なぁんだ、この程度かよー!!」と、「クローザー」のブレンダ・ジョンソンを目指したいわたしが、汚い言葉を使いたくなるほどの、フッツーの人材。
人当たりや察しの良さの点で、かなり並クラス。それなら経歴がすごいのかといえば、単なる女性らしい一般事務をずっとしていただけ。じゃあ専門経験があるのかといえば、応募職種に似た仕事は事務を辞めてここ数ヶ月、アシスタントをしていたというだけ。
この程度の人にわたしは居心地悪さに追いやられるところだったの!?
ちょっと話しただけで見てとれたよ? 面接したら分かったのでは? それでもなお、この人のほうを居心地良部に入れるつもりだった!?
いや、良いといっても、「悪部ほど悪くない」ということであって、それなりにいろいろある。
良い悪いではなく、良部のほうが扱う人数も多く、若干上の扱いなのだ。
そこには、この比較だったら、専門経験も長く、事務経験もそれなりにあるわたしを良部にするでしょー!
入れてしまえば、もう自分のところの一員だし、部長第二補佐は個人的にわたしを嫌っていたわけではなさそうなので、扱いは普通だった。
入れたので、(居心地良部だし)、もうわたしも含むところはない。
お互いに知らんふりして粛々と新人の儀式をした。
こういう場で、当然わたしともう1人は一緒なのだが、部長第二補佐に向かってもわけのわからない会話を振るときがあり、場を読めない人だった。
この人はいい人だ。わたしの防波堤になってくれる。
初日は正社員的スタッフと契約社員的スタッフしかいなかった。ちょうど今年は土日がはさまる。月曜からパート的スタッフも来ることになる。
パート的スタッフさんたちは、絶対思うに違いない。「この人より私のほうがなんぼかいい」
この契約社員的ポストを狙っていながら、賭けには出ず、今のパート的ポストだけでも守ろうと涙をのんで諦める決断をした人は、わたし以上に「はあ!?」と思うに違いない。
その人たちは、わたしを目の敵にするだろうと覚悟していたけれど、この人と比べれば「まだあの人なら分かるけど」という評価にわたしは格上げだ。
少なくとも年数は、どのパート的スタッフさんより長いこと請け合いなわたしなのだから。
居心地悪部のパート的スタッフさん2人のうちの1人は、居心地良部のあるパート的スタッフさんと仲良し。以前同じ部だったそうで、とても仲良しなのだ。
絶対横に噂が流れるに違いない。「あの新しい契約社員的スタッフさんたらねー」
すると居心地良部のパート的スタッフさんたちには広がるに違いない。「うちはまだましかー」
その中には、「どうせどこの馬の骨?みたいな人が、自分のなりたかったポストを奪って、自分の上にのさばるのなら、まだこいつのほうでましだったか」という思いが入ってる。
居心地悪部の人は「絶対そうだよー」と言ってくれる。
結果的にナイスアシスト!!部長第二補佐。
もしかして、こういう人なら居心地悪部でも辞めずにやっていけると思って採用したのなら、さすがに頭のいい人は違う。
あ、でも、この人じゃなくわたしのほうを居心地悪部に、と最後までねばってたんだっけ。
とにかくありがとう!部長第二補佐。