年をとったら差が出てくる
「NCIS:ニューオーリンズ」には、スコット・バクラさんが出ている。
スコット・バクラさんは、「スタートレック エンタープライズ」で艦長を演じていた人だという説明が一般的だが、夫にとっては「チャックのとうちゃん」だ。
「チャック!」というドラマで、主人公チャックの謎の父を演じていたからだ。
わたしはアメリカドラマファンだが、夫はそうでもないので「スタートレック エンタープライズ」のほうは知らないのだ。
「NCIS」は海軍犯罪捜査班で、「CSI」の科学捜査班も、「LOW & ORDER 性犯罪特捜班」のヴィクテムズユニットも、「コールドケース」のフィラデルフィア警察も、名前は違ってもやることはだいたい警察みたいなものである。
捜査官たちが銃を構えて、中腰で壁伝いにドアに近づいていき、「ジョン・スミス! NCIS! オープンザドア!」みたいなことを叫ぶ。当然相手は応答しないから、うなずきあって一人がドアを蹴破る。
用心しながら、銃を構えて中腰で進む。
廊下の角を曲がるときや、部屋に入るときは、サッと向きを変えて鋭く辺りを見る。
毎回のように見るシーンだ。
家じゃなく、倉庫や船や廃墟のときもあるけど。
「NCIS:ニューオーリンズ」が始まって、当然そういうシーンが毎回のようにある。
ここのチームユニットはそれほど大きくない。そこが親しみやすくていいところなのかもしれないな。
「NCIS」のギブスも、「NCIS:NO」のプライド(スコット・バクラさん)も、チームリーダーでありながら自らも「オープンザドア!」に参加することが多い。
まあ、アメリカドラマの場合、自ら参加するボスが多い。そういうキャラでないとヒーローになれないらしい。
「NCIS:NO」でスコット・バクラさんの「オープンザドア!」を見ていて、この人が意外と年をとっていると気づいた。
白髪だし、年をとっているのは分かっているのだけれど、中腰で警戒しながらササッと進んでいく姿を見ていたら、年だということがすごくよく分かったのだ。
あー、そうか。と思った。
少しロングで全身を映したり、背後から体つきを映したりすると、身のこなしに差が出てしまうんだ。年による差が。
なんか、老人ぽい。
やがて回が進むと、すっかり体も慣れて、スコット・バクラさんもきびきび動いているように見えてきた。
若者か30代くらいまでなら、自分が警官役をやることになって急きょ対応しても、なんとかなるのだ。たぶん。
でも60代となると、体が慣れるまで時間がかかるのだ。たぶん。
スコット・バクラさんもエンタープライズ号の艦長だったんだし、アクションもこなしてきたはずだ。
だけど、ブランクがあると、30代と60代では取り戻すまでにかかる時間が違うのだ。たぶん。
それでもすぐに元に戻してきたのは、さすが俳優。
――ただ自分も、さっそうと歩いているつもりでも、年が出ているんだろうと思って、現実をつきつけられただけだ。
――まあ、体格よすぎなので、さっそうとは歩けないのだが。