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Status Message:周回遅れのビール日記(順不同)

ビアリング、勝手に命名

一時期、わたしは山歩きにハマったことがある。今でも行きたいと思うが、しばらく行っていない。年に1回くらい、比較的簡単なところに行くくらいである。
比較的簡単と言ったって、もともと低山しか歩かなかったのだから、その中でも簡単なところといったら軽いハイキング程度のものである。低山オンリーだったので、『登山』と言うには気が引けて「山歩き」と言っている。


しばらく低山歩きをしていたのは、山歩きがメンタルヘルスに良い影響があると身をもって知ったことと、何かを始めるとタスク消化につい夢中になってしまうため、というのが理由である。
メンタルヘルスに良いというのは、一緒に行っていた夫が先に気づき、行くときはほとんど2人で行っていた。トリプルワークしていたうちの第二の職場を辞し、時間ができた半年ほどは、週に3回行くことも何度かあった。それも低山だからこそできたこと。景色なんてそれほどでもない場所、スギやヒノキ地帯が多いのだが、それでも楽しいから不思議。


あまり行かなくなったのは、第一の職場に常勤で行くことになり、土日しか休みがなくなったから。それがひとつめの理由。ひっそり静かな山の中を歩くのは楽しい。慣れてくるとだんだんバリエーションルートに入るようになった。通称『バリルート』と呼ばれる、メインストリートからはずれたコースで、藪っぽいところも多いが、人が少ない。そんなわたしたちにとって、土日は賑やか。素晴らしい山岳地帯でなくても、結構な人がいるのだ。
ふたつめの理由は、わたしの気持ちの変化。それも落ち着いて、今はまた行きたい気がする。


夫はどちらかというと引きこもり人間で、必要以外でひとりで出かけることがあまりない。わたしが山に行かなくなったら、夫も行かなくなった。
長年のパートナー生活で、外に出ることではわたしが主導権を握ることが多くなっているが、ビア巡りには夫は同行しない。わたしもほとんど誘わない。週末の多くをビア巡りとその後の休息に使うようになり、平日も週に1回か2回は帰りが遅い日々になって、夫はある日言った。「自分も一人で外食に行けるようにしないと」――寂しくて行けないのではなく、面倒で行かないのだ。しかし、隣駅の肉バルが気に入って、ワイン飲み放題で食べたいようで、「一人でも行けるほどモチベーションを高くしよう」という意味なのだと思う。


それ以外に夫が「一人でもやろう」と言い出したことが『チェアリング』である。
もともと山歩きは気に入っていた夫、行かなくなってからも、山で調理して食べる「山ごはん」に関する読み物をよく読んでいた。デイキャンプについてもいろいろ見ていた。「ソロキャンプ」が流行る前からキャンプを見ていたので、当然ソロキャンも追っていた。
しかし引きこもりがちな夫には、ソロキャンプはハードルが高かった。ただ見るだけで楽しんでいた。
そんな夫が、「チェアリングをしようと思う」「そのための椅子を買ってもいいか」と言い出した。買ってもいいかと聞くのはお約束の冗談のようなもので、勝手に買えばいいのだが、自分用の何かを買うときそう聞いてくる。


『チェアリング』とは、自然の中で椅子に座って、ぼんやりしたり、陽光や風を感じたり、木々や草の葉ずれの音や鳥の声を聞いたり、そういう「大自然を体感する」ことを楽しむものらしかった。
へぇ~。でもわたしは、自然を体感するなら、はあはあ息切れしながら山を登って、(低山なので大したことはないが)景色を見晴らしたり、静かな山の中を歩いていて音に驚いたり、動いて感じたいなぁ。
なんて思ったが、それほど面倒な思いをしなくても、ちょっと緑のあるところに行って、簡易的なアウトドアチェアをサッと出し、ゆったり気分を味わうというのが、気軽でいいのだろうと想像できる。


電車で少し(1時間15分ほど)遠出することになるが、駅から徒歩10分くらいの登山口から、30分ほどで見晴らしのいい場所にたどり着ける山がある。たとえばそこでチェアリングしたいと言う。見晴らしのいい場所でなく、もう少し奥の木々の中(スギとかヒノキとかだけど)、そんなところでもいいと言う。
なるほど~


話を聞いた頃のわたしは、Venueバッジ集めを頑張っていた。(タスクがあると燃えるタイプ)
『Campfire』バッジを達成し、「CampfireとParkって何が違うのか?」と思い、次は『Park and beer』バッジを目指そうとしていた。そして、その次は『At the Top』だと考えていた。『At the Top』は、山か丘(Mountain or Hill)だとのこと。
かつて歩いた低山を思い出し、どこだったら山歩きに縁の薄いビア友でも心地よく行けるかと思い返してみたりした。


ビールの種類にこだわらず、ごくごく小さなミニ缶を持って出かけ、山頂で飲む。(山頂といっても、素晴らしい山を想像しないでいただきたい。中には「○○山山頂」となってはいるが、景色は望めず、山と山をつなぐ尾根上にたまたま山頂があるだけ、というところは多い。)


そうして考えているうちに、それもいいなと思えてきた。
夫は椅子を持って、自然を感じに行くかもしれない。わたしはわたしで、ビール缶を持って自然を感じに行くかもしれない。一緒に行ってもいいし、ひとりでもいい。


わたしは次のステージを考え始めたのだと思う。
ビア友がいなくなってしまった後の自分は、果たしてクラフトビールを飲んでいるだろうか。UNTAPPDを楽しんだりしているだろうか。
ビア友は、もし異動したら、たぶんその異動先では、車生活になる可能性が高いからビールを飲む機会は減るだろうと言っていた。「わたしはこんなのを飲んだよ!」という話をするとしても、どのくらいできるだろう。お互いに「自分はこれを飲んだ!」と話せるなら、たまに通話したりメッセージを送りあったりして、交流を保つこともできるかもしれないが。


ひとりになっても続けていけるには、寂しさに負けないことが大切だと感じ始めていた。
これまであった「友達がいてこその楽しさ」がなくなり、その寂しさを強く感じるあまり、ビールそのものから離れてしまうかもしれない。
せっかくその魅力が分かり始めてきたクラフトビール。もったいないな、と感じる。


たとえば、追いついてきたビア仲間ケイさんや、普通のビールも好きなタカさんとももっと気軽に出かけたり、ひとりでもできる楽しみ方で楽しんだり、そういうことを積極的にしていこう。


これまでに行ったことのある『Park』や『Mountain』をミニ缶を持って回り、そういうバッジのレベル2、レベル3を目指すのもいいかもしれない。
行くとしたらどこに行こうかな。
大きな缶はやめたほうがいい。グラウラー/クロウラーか、ミニ缶だな。だって、山は酔っていたら危険だもの。たとえ低山でも。


山や丘で飲むことは、UNTAPPDのFriendたちの投稿も後押しをしてくれた。
トレッキングをするらしい**は、美しい風景を投稿しているし、海辺が近いらしい**は、砂浜でビール缶を撮って投稿していた。どういう場面で飲んだかを投稿するのって、いいなと思えた。
それを自分もやってみたい。
ビア友とBadgeをGetし(レベル1)、もし離れてしまったら、ひとりでレベル2、レベル3を目指して休みの日に出かけてみる。


そうだ、そうしよう!


今、これをビールを飲みながら書いていて、実は少し酔っている。だから言ってしまうと、わたしは厄介なところの多い人間である。ビア友はそんなわたしを良い方向に後押ししてくれる。
だからこんなふうに思えるのじゃないかな。
ビールが結ぶ縁て、不思議で、素敵だな。――「縁」て、ビールに限らずそんなものかもしれないけど。


だからわたしは、来年になったら、チェアリングならぬビアリングをする。
かつて行った低山を巡ろう。
そのとき、ひとりかもしれないし、誰かがいるかもしれない。一緒に行ってくれる友達がいるかもしれないし、夫がチェアリングしている横でビアリングしているかもしれない。


ビアリングして、自然の景色や音を感じていられるようにしたい。
一度の山行で、登録ポイントは2つ3つあるはず。


わたしの次のステージのビアライフに、Cheers!

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