貴族と庶民、あまたたび。庶民哀歌。
☆画像は、ヒナノビール。絵が可愛くて買う。けど、味の批評はできない。さらっとして飲みやすいビールだとは思うけどね。なんにでも合う。
「△△の資格を取るために、来月年休をいただあて養成講座に通うつもりです。申し込みが多ければ選抜されるのでダメかと思っていたんですが、受け入れの通知が来たので」
「△△は、わたしも定年後やりたいと思ってるんですよ」
「定年後ですか」
中略
これは、わたしと最年少プリンスの会話。
プリンスとは、近い将来、会社におけるキングの座が見えている幹部。
プリンスたちの中では最年少。でも確実に次かその次のキング。
「フローズンクイーンにはたまたま知られてしまったのですが、目的とか費用とか聞かれました」
「へー、フローズンクイーンさん、そこに突っ込んだりしたんですか」
少し中略
「あと**の資格を取ろうと思ってます」
「**ですか。天然子さんは**持ってるそうですよ」
天然子さんは、今、最年少プリンスの部下になっている女性。プリンスは可愛がっている。
「そうなんですか」
「天然子さんはなぜあんなに対応できるのかと思っていたんですが、その勉強をしたんだと聞いて」
「いつ頃、取られたんですか?」
「前に**の資格取得が奨励されたことがあったんです。そのとき取ったようです」
あー、そういえば、わたしの恩師も取ろうとしてたことあったなー
関連組織だからなー
「そうなんですか」
「更新研修を受けたいと言われて知ったんです。計算したら12万かかります」
「そうなんです。かなりかかるので、そもそもこの資格を目指したのは間違いだったかと思ってます。でも安いものもあるので、最低10万ですね」
「自主的な研修も、組織の研修を振替えることができますよ。調べてみたらいい」
「そうなんですか」
「天然子さんに、更新研修受けたいと言われて、私も調べてみたのですが、ものによりますけど組織の研修をそういう自主研修に振替えることができるんです」
じゃあ、△△の研修も?
**の養成講座はもう払込も受講も終了して、試験受けるだけだしな。受かった場合は更新研修、少しはお金浮くのかな?
?
?
……振替えるって、そもそもわたしは庶民の非正規だから、組織の研修受けろという命令ない。若い人にとってはめんどくさい研修。でも、逆に言えば、何か身につけたいと思ったら、組織外で自費で受けなければならない。庶民は組織の研修を受ける義務もないが、受けたいと思っても権利もない。
ということは。
天然子さんは。あるいは他の貴族は。
自主的に何かを学ぶ費用を組織からもらうことも可能。職務に関係するものなら。
へー
そうなんだ。
わたしが去年受けた資格試験の養成費用も。
来月受けたい養成講座費用も。
秋から年末まで受けてた講座費用も。
もしかしたら対象で、自分の行くはずの費用分は出してもらえたんだ。
正規なら。
受かったあとの更新研修も。
正規なら。
組織を担うため、成長させなきゃならない貴族なら。
でも、わたしは対象じゃありませんね。
そもそもその講座が対象かどうか以前に、わたしが対象じゃありませんね。
「あ」
とお互い思ったのか、
わずかに静かな時間があって、話題はそれた。
フローズンクイーンは転職を視野に入れると資格に興味あるようだったが、そのために取ろうとしたとしても、振替えられるんだなぁ。そのためっていちいち言わないもんなぁ。
わたしはここで活かす道しかないかなぁ、という状況でも、自費だもんなぁ。