わたしは1月の終わりに差しかかり、ふと思った。来年度は、これまでにBBFFと行ったお店を回るというのはどうだろう。

1月も下旬になり、勤務地が変わる人には密かに連絡が行く時期となった。
でも、今年はその心配はあまりない。タカさんもケイさんもホッシーさんも、今の部署に異動してまだ1年。少なくとも来年度はまだ変わらないよね。

タカさんに聞いてみたら、「いつメンは誰も異動はないです！ まだ全員1年なんで、少なくとも来年はないです！」と断言した。
だよね！ タカさんに断言されて、さらに安心した。タカさんの異動予想は結構外れてる気がするけど、今年度の異動に関してはその通りだろう。

わたしのクラフトビールStage4は、これまでに行ったお店や場所を巡ること。展開が早すぎて、新しいお店にはついていけない。
でもきっと、ひとりでは面倒になって行かないだろうなぁ。お昼休み、タカさんに「わたしのクラフトビールStage4は、これまでに行ったお店を回ること。でも、ひとりだと行かなくなりそうだから、タカさんを誘います。それでケイさんも行くって言ったら3人で行けばいいし、そうでなければタカさんと2人で行きます！」と宣言した。
「この3年でどこに行ったか、記録を辿ってリストにしようと思います！ それで、4月から行きましょう！」
タカさんはいつものタカさんの笑い声で「あはは」と笑って「そうですか。分かりました」と笑顔で言った。
そして、それぞれの部署に戻るため、別れた。別れ際にタカさんは「明日、私、お休みです」と声をかけてくれた。

そして、タカさんのお休み明けの日。
タカさんは、わたしに言った。「いろいろ計画を立てていただいてるって話、してたじゃないですか」
計画？？ 「あちこち回るって」あ、あのStage4の話か。

「私、来年いないです。異動です」
え？！
「まだ公表してはいけない時期ですが、計画立ててしまうといけないと思ったので」
それで教えてくれたのか。タカさんらしい。

わたしは動揺。今年度は予期せぬ一連の嵐があり、タカさんがいてくれなければわたしは乗り越えられなかったと思う。
実は嵐はまだまだ去ってはおらず、いつまでも懸念は残っていた。大事な友がまたわたしの人生から消えそうになったら、わたしはまた絶望の淵に落ちるだろう。誰にも言えず、そこから這い上がるのはできないかもしれない。
また、嵐のためもあり、転職が一番の解決ではないかとも考え続けた1年だった。しかし、嵐のためにはそれが一番の解決法であっても、わたしのキャリアや生活や人生としては転職は問題を含んでいる。来年度は、本当に嵐のために転職するならリミットが来る年。またタカさんに相談に乗ってもらうことも多いだろうと思っていた。
いなくなってしまうなんて。

そして、心に湧く思い。いつメンはどうなるだろう？
家長を失い、それでも長男がいたから続いてきた。3人になったら、グループとして存続するかな？ もともとホッシーさんとケイさんは古くからの仲良しで、よく2人で出かける。なら、2人でいいよね？
ホッシーさんはもともと飲まない。大好きな人たちが飲むからつきあっている。大好きな人たちが好きだから、自分もビールとやらを飲んでみようと、たまに飲む。大好きな人たちは、2人減って残りは1人になってしまう。

えーー　えーー　えーー
ショックしかない。
タカさん、今日か明日、話したいです。飲みに行きませんか。明日また待てないです。今日行きませんか。

CANTINAのハッピーアワーは、近隣の別店舗では19:00までと看板に書いてあった。それはいい！ 慌てることなくハッピーアワーを味わえる。
その話は前からしていた。でも、19時までハッピーアワーで飲んでいたら、夕飯までに家に帰るのは間に合わない。結局、その後もごはんを食べながらがっつり飲むことになる。それなら、ゆっくり飲みたい時に誰かと行った方がいいかな。そう思って、使っていなかった。
いつもとは違う店舗の19:00までのハッピーアワーに行きましょう！

ところが、行ってみると、看板にはハッピーアワーは「11:00～14:00」のように書かれている。あれ？？ わたしが見たのは幻だったの？
ちょっと中に入って聞いてみると、「いいですよ」というような返事。「今日はお客さんがいないから19:00までOK」ということらしい。

ありがたく中に入る。
メニューはいつものお店と変わらないようだった。
最近気に入ったりんごのポテトサラダ、甘えびのフリットなどを注文する。そしていつものカプレーゼ。牛肉。

タカさんがピクルスとピザを追加する。
そこまでの間に、飲めるだけ飲む。いつものハートランド。そしてUNTAPPD投稿用に写真を撮る。実際にUPするのは今でなくてもいい。だって、タカさんがいなくなっちゃう。話すことはたくさんある。

でも話し始めたら、それほど話すことはなかった。行かないという選択肢はない。
ただわたしが、今年度どれほど有難い存在だったか、どれほど助けられ、どれほど救われたかスピーチしただけ。

ハッピーアワーは終わってしまったので、キリンタップマルシェのクラフトビールに移る。このラインナップは別のCANTINAとちょっと違うようだ。
充分食べて、そしてまだ早いこの時間にかなり飲んだので、いったん区切りをつけることにした。

タカさん、ありがとう。
――わたし、来年度はどうしたらいいんだろう？ 堂々巡りの話でタカさんを困らせても仕方ないので、これ以上は言わないようにしよう。でもどうしたらいいんだろう？ やっていけるだろうか？

タカさんが教えてくれたときから、夕方ここに来るまでに、わたしなりに立て直した。
タカさんと飲みに行こう。途中の地点で会って、ビア旅でビールを飲もう。遊びに行って、向こうで一緒に飲もう。他にも知っている人はいるし、一緒に飲もう。わたしは観光もして帰って来よう。
そうだ、ビア友とできなかったビア旅飲みを、タカさんとこそしよう。

翌日にはそんな気持ちもまた萎えたが、それでもまた立て直して、頑張ってやっていこう。
ありがとう。そして、絶対会いに行く。タカさんはLINEも淡々として用件のみだから、電話もしちゃおう。

今までありがとうございました。
これからもどうぞよろしく。