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Status Message:周回遅れのビール日記(順不同)

メンタルヘルスのメカニズム、周囲にできること

☆仕事関係のことについて、まとめを書いていこうと思いながら進みませんでした。このシリーズは日々書いている日記とは別の内容になります。これらの記事については、掲載後1日か2日経ったら、11/1くらいの昔の日付のところに置こうと思います。いずれそれも削除しようと思います。
☆趣味で書いているブログなので好きに書いてます。読まずに飛ばしてくださっても気にしません。
☆このシリーズは、日記とは違う文章スタイルで書いていこうと思います。副業でときどきする文章や電話によるカウンセリング風と書籍風の折衷です。


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うつ病のメカニズムは、さまざまな心の病気と似ていると思います。


多くの精神疾患は、原因が特定できません。うつ病になる率が高いとされる心理傾向や生育時の体験はありますが、必ず発症するものではありません。また、そういった要素が少なければ絶対に発症しないとは言えません。
心に大きな負荷がかかったりすると、発症につながります。対人関係や仕事などのストレスが高いことが引き金となることは多くあります。


今日は発症に至る経過や、治療から考える意識や接し方について、お話したいと思います。


●発症について
病気になるメカニズムを、図で説明することがあります。
心も回復力を持っています。
指や手のひらで皮膚を押すと、皮膚は凹みますが、手を放すと自然にふっくらと元に戻ります。心も同じで、ストレスがかかって凹んでも、ストレスから離れると戻ります。
でも、あまりに強く圧迫されると、皮膚も元に戻るのに時間がかかります。また、長時間圧迫され続ければ、元に戻りにくくなります。心も同じです。


心を押さえつける何らかの事象をストレッサーと言います。ストレッサー(ストレス要因)によって心が押さえつけられて感じるのが、ストレスです。
回復力が減っていき、日常や仕事などの生活に支障が出ている状態は、うつ病や適応障害などの疾患かもしれませんし、その前段階の抑うつ状態かもしれません。


うつ状態が見られるからといって、即うつ病とは限りません。その手前の段階かもしれないのです。


医師によっては、そういった説明がないことがあります。
「うつ」という言葉は、うつ病なのか、うつ状態なのか分かりません。実は、うつ病とうつ状態の区別は医師でも難しい時があるそうです。
また、うつ病であっても、軽度なのか、中等度なのか、重度なのかによって、症状や治療も変わります。


うつ病の治療は、薬物療法と認知行動療法が主とされてきました。軽度であったり、病気というよりうつ状態であったりする場合は、服薬をせずに症状や状態への対処を考えることも多いでしょう。薬を使うとしても、向精神薬や抗不安薬ではなく、別の薬を用いて症状の緩和につなげることもあるかもしれません。


心理教育や支持的精神療法を用いる場合もあります。


●心理教育
心理教育とは、うつ病について知ることです。当事者ご自身だけでなく、家族にも知っていただけるとよいでしょう。
うつ病は誰でもなり得る疾患です。その意味で「うつ病は心の風邪」と言われることがあります。周囲がうつ病を特別視して、性格や人格の問題ではないかと考えたり、特殊な病気になってしまったと嘆いたりすると、うつで苦しんでいる当事者ご自身にさらなるストレッサーとなってしまいます。うつ病になった人に責任や原因があるのではなく、誰でもかかる可能性があるのです。


甘えているのではないか? 努力が足りないのではないか? と周囲が本人を責めてしまいそうになることがあります。
うつになって苦しい思いをしている方を、さらに追いつめてしまうこともよくあったので、「うつ病は心の風邪」というキャッチフレーズは大きな役割を果たしています。うつ病への理解を促してくれます。しかし、風邪のように簡単に治るものではないということを、理解しておく必要があります。誰でもかかり得る病気という意味で「心の風邪」ですが、「簡単に治る」「放っておいても治る」「気遣う必要はない」というものではありません。


休日に起きられなくて長時間寝てしまうことがあっても、それは心の回復のために必要なのだと理解して差し上げてください。
仕事が手につかないことがあったり、家事をこなせないことがあったりしても、その気力や体力がまったく湧かないことがあるのだと理解して差し上げてください。


「私だって疲れてるけど、でも頑張って仕事に行っているのに」「誰だって何もしたくない時はあるよ」というようなことを周囲が思ってしまうことは多く、それは自然な気持ちなのだと思います。仕事として支援をしていても、「誰だって」「私だって」という感情が湧いてくるという話もよく聞きます。


しかし、うつ病の真っただ中にいる当事者ご自身は、頑張ってもできないのです。なんとか起きようと思っても起きられないのです。仕事に行こうと思っても足が動かないのです。
怠けているのではなく、できないのです。たとえば、高熱があって体に痛みがあるときに、起きて仕事に行こうとすることを想像してみてください。起きられるかもしれませんが、とても苦しいと思います。動けるかもしれませんが、とても痛くてつらいと思います。それでも家を出て、会社に向かえば、着くだけでもひどく消耗してしまいます。会社にたどり着けないかもしれません。それでも「怠けずに行くべきだ」と言うでしょうか。
自分だって疲れていたり、今日はちょっとだるいと感じていたりするかもしれません。それでも頑張って会社に行ったら、「**さんは今日具合が悪くて休みだよ」と言われ、自分は頑張って出社したのになと思ってしまう――それは自然なことだと思います。ですが、「**さん、体調かなり悪くてつらいらしいよ」と聞いたら、その人に「自分だって頑張って出社したんだ、あなたは重病でもないのに休むなんて、ずる休みだ」とは言わないと思います。


うつ病の方は、自分を責めてしまいがちです。実は当事者ご自身が一番、「こんな自分はダメだ」「どうしようもない人間だ」と自分を責め、自己否定から自信をなくし、うつ状態の負のスパイラルに陥っているかもしれません。
ご自身や周囲がうつ病を正しく知ることで、より適切な対応ができます。それが心理教育の役割だと思います。


また、最近では、うつ病を発症する前の段階でも、ストレス要因から離れるための休職を勧められることがあります。休職や休学をしてゆっくり回復を図る際も、ストレスを解消しつつ休養する(休養中も趣味などを行い回復につなげる)、といったやり方が採用され始めています。
それも、さぼっているように見える要因のひとつかもしれません。


心理教育は、ご自身や周囲の方々に、うつ病を正しく知ることで対処法を学んでいただくものです。うつ病になられた方や、うつ病になられた家族を心配する方の心理面へのアプローチといえます。
まだうつ病として治療を受ける段階に至っていなかったとしても、自分自身や周囲を責めるのではなく、正しく知ることが大切だということを意識していただければと思います。きっと良い効果につながると思います。


通常、心理教育は病院や病院付属のデイケアなどが行います。
インターネット検索などの情報収集には充分気をつけてください。情報が多すぎて、どれが正しい情報か見極めるのが難しいので、誤った方向に行ってしまうこともあり得ます。信頼できる発信元かどうか確認する、新しい情報かどうか確認する(間違った情報ではなくても、古い情報は今では変わっている可能性があります)、複数の情報源から多角的に情報を得る、といった対策をする必要があると思います。


●支持的精神療法
支持的精神療法とは、当事者の心のつらさや苦しさを聞き、寄り添っていくものです。主治医として診察している医師がそういった方法を採ることもありますし、医師または支援者がカウンセリングとして行う場合もあります。


うつ病だけでなく、精神疾患を抱える方は病気のつらさだけでなく、病気によって引き起こされるさまざまな生活上の悩み・苦しみを抱えていることがあります。そういった困難に寄り添っていくことで、治療の効果が高まるケースも多いものです。医師は忙しく、ひとりひとりに充分な時間を取れないこともあります。そのため、カウンセリングや相談支援を併用する場合もあります。


この「支持的」というやり方は、日頃のコミュニケーションにも活用できる部分があると思います。「支持」するのですから、簡単に言ってしまえば、相手の言うことを否定せず受け止める、批判せず理解しようとする、ということです。家族や友人に悩みやうつ状態、その他つらい状況の方がいらっしゃるときは、できる範囲で実践してみてもよいように思います。


カウンセラーとしてカウンセリングを行うとしたら、もっとさまざまなことを考えることでしょう。それらの全部をやってみようとしても難しいと思います。知識や経験を必要とするものではなく、誰でもできそうな心構えや受け止め方について、簡単にお伝えしたいと思います。


★相手の話をそのままに受け止める
自分とは考えが違っていても、人はそれぞれ性格も価値観も考え方も違うものなので、それは相手の考えとしていったん受け止めます。
ひとりひとり状況も違います。それに対して感じるお気持ちも、感情の強弱も違います。


「こういう人って、こう考えるよね」「こういう家庭環境だとこんなふうになるよね」と決めつけないようにします。
「こんな問題があるときは、こうすればいい」「これに対しては、こうするといいよ」と分類で考えて解決法をアドバイスしないようにします。
「私もこんなことがあったよ」「そういうときって誰でもあるよね」とまとめず、ひとりひとり違うことを意識しておきます。


★共感的理解を試みる
「受容と共感」と言うことがあります。受け入れることと、共感を示すことは重要なことです。
ですが、「共感」には留意事項があると思います。
ひとつは、「分かる分かる」「そうだよねぇ」という「同じ思いを感じる」ことを目指すのではなく、「そんなふうに感じているんだね」「そういう思いや考えなんだね」と理解しようとすることが大切だということです。
カウンセリングではよく、「共感」ではなく「共感的理解」と表現されます。「そうそう!分かる分かる!」ではなく、「あなたが感じていること(あるいは、考えていること)はこういうことなのですね?」「こういうことなのですか?」と理解しようとすることです。「分かる分かる!」は、「私の気持ちがなぜそんなに簡単に分かるのか?」や「分かってないじゃないか」といった反感につながりがちです。
ひとりひとり別の人間ですから、同じような感情を抱いたとしても、実際はひとりひとり少しずつ違うものです。傷ついているときや弱っているときは、その違いのほうに敏感になることがあります。
そのため、「私も同じだよ!」「自分も同じだから分かるよ!」と言う言葉も、「私の苦しみと同じはずがない」とか「同じじゃない!」といった気持ちになりやすいです。また、「私も同じ!」という共感は、その後に「私もこんなことがあってね――」「そのときこうしたら良かったよ――」という自分の話になってしまうことが多くあります。つらい思いを話しているときに、「私もこんなことがあって」と主語が移ってしまっては、話す気持ちも凹んでしまいます。


「同じ思いを感じている」と伝えるのではなく、「あなたの思いを理解しようとしている」ということを伝えるイメージです。


★否定しない
自分とは考え方が違っても、自分の善悪の基準とは違っても、いったんその気持ちを切り離して、相手の話をそのまま受け止めます。
否定されると、相手は話をしたくなくなります。感情を表すのは悩み苦しんでいる人にとって有効なので、相手が内にある思いを思う存分出せるよう、安心して話せる聞き方をしてください。
相手の考えや思いと違う立ち位置の意見を言うときは、「それは違う」とか「普通はこうあるべきじゃない?」という決めつけた言い方でなく、「私はこう思う」というIメッセージで伝えましょう。しかし、まだ相手が落ち着いた状態になっていないときは、自分の意見を言うのは保留にして、安心して話をしてもらえることを優先してください。


★ジャッジしない
まずはあるがままの相手を受け入れるようにし、批判や非難はそっと横に置いておきます。
一般的な価値基準や、自分自身の価値基準から外れていると感じても、最初から反論するのではなく、一度は受け止めます。そして、なぜ相手はそう考えているのかを理解しようと努めます。
法律で定められた犯罪行為でない限り、「それはどうだろう」と思う言動も相手の価値観であったり、思いであったりします。
カウンセリングや行動療法などで少しずつご自身を振り返ったり、掘り下げたりして、自ら変わりたいと思うようになるには時間がかかることもあります。
つらく苦しいときは、助言よりも支えがありがたいときがあるものです。



【To be continued…】
少しずつ状況に慣れてきて、新たな悩みが沸き上がってくると思います。
いつまでもこのままなのだろうか? いつまでこの状態が続くのだろうか? 治るのだろうか?
どんなふうに気遣えばいいのだろう? 本当にそんなにつらいのか?
当人には当人の、周囲には周囲の葛藤や苦しみがあります。
悩みすぎず、自分を追いつめず、日々を過ごしていけますように。



まだ先が長いかもしれないと思うと、ストレスに感じることもあると思います。
それは仕方のないこと、誰でも感じがちなことです。
周囲の方は、自分自身や当事者ご本人に対して否定的な気持ちが浮かんでしまっても、それも自然なことだと受け止めてください。その後で、息を吐いてその気持ちを手放しましょう。
当事者の方は、自分自身に対して否定的な気持ちになったら、今はそういう気持ちになりやすい時期なのだと心でつぶやいてください。その後、深呼吸してその思いを手放しましょう。
肯定できることを考えてください。小さなことでもいいので、できたことを思い起こしてください。
平和な気持ちが少しでも増えていきますように。

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