「スラムドッグ・ミリオネア」(映画)
インド映画は好きなのだが、好きなのはラジニカーントのような古き良きエンターテイメントインド映画。
「スラムドッグ・ミリオネア」はすごく話題になっていたけど、歌ったり踊ったりしないシリアスな普通の映画なんでしょ?と思って、見てなかった。
いつか機会があったら一度は見てみたいかも?と思っていたが、今になった。
うまく書けている脚本。
ひとつひとつの質問が、スラム育ちの青年の人生を投射していく。
それにしても、「クイズで正解し続けているのは、どんな手を使っているんだ!?会場に仲間がいるのか? 皮膚にチップを埋め込んでいるのか?」と拷問して吐かせようとしているシーンから始まるのがすごい。
なぜ警察がそんなことに、証拠もないのに手を出すのか、不思議。司会者から通報があったとしても、拷問じゃなくて捜査でしょ?
まるでラジニカーント映画でも見ているようで、インドらしかった。
エンドロールで出演者が古き良きインド映画みたいに踊っているのがよかった。
悲しい場面もあったし、おぞましいエピソードもあったけど、全部映画だったんだ、実際にあの子は目をつぶされたわけじゃない、実際に兄貴は死んだわけじゃない、と思えるから。
そんな意味で踊っているわけではないのかもしれないけど、もう30代後半くらいから、ハッピーエンディングしか心が受け付けなくなっているのでありがたい。
わたしがインド映画に求める「スペクタクル大河ドラマ+宝塚も真っ青の歌とダンス」はないけれど、普通の映画としては良い映画だった。さすが大評判で、なんだか賞もとっていただけのことはある。