Bittersweet Maybe - Bubble Talk -

Status Message:周回遅れのビール日記(順不同)

10/12 小さいいくつかのエピソードがあった日


「天然」とよく言うけれど、まさに天然という方が職場にいる。天然子(てんねんこ)さん。
「天然」であることが、これほど素晴らしく表出する例は、意外に少ないのではないかと思う。
天然子さんは、場の空気には「我関しても自分自身のまま」な人だ。「我関せず」ではない。気を遣おうとして、なおのこと自分自身に向かってしまい、天然子さんのワールドになる。
でも、いつも、とても人を気遣ってくれる気持ちが伝わってくる。「ありがとうございます」と言うときは、本当に有難いと思ってくれていると感じる。「いつも親切にしていただいて」と言うときは、社交辞令ではなく本当に自分に対して「いつも親切にしてくれる人」と思ってくれているように感じる。そういう人だ。
近くで仕事をすると、それなりに疲れることもあるらしく、「妖精さん」と呼ぶ人もいる。ま、どんな人間だって、完璧に誰からも好かれてるってことはない。自分を振り返れば、わたしなんて呆れられ、見捨てられ、周囲が困ることばかりだろう。


この日は朝から天然子さんが事務室の外にいた。素敵なラッピングのお菓子を持っていて、「息子が修学旅行に北海道に行ったので、持ってきたんです。でも用意は前からしていたんですけど、渡すのが遅れちゃって、もう賞味期限が過ぎそうで」とおっしゃる。
前に野球会として野球を見に行ったとき、わたしがフードをまとめて購入したので、そのお礼だそうだ。
だいぶ後になっても、「あのとき買っていただいちゃって。お支払いはどなたにすればいいですか」と言っていた。一緒に行った第三部署の部署長が後からくださったので大丈夫、と伝えたため、天然子さんは部署長用のお礼も持参なさっていた。さすが、天然子さん。


朝からほっこりしたが、お昼にもまた天然子さんに会った。
コヤマさんに会いに行くのだという。「よかった、佐柳さんにお会いできて。コヤマさんはどちらにいらっしゃるか分かりますか」
「お昼はだいたいいつも第四事務室の自分の席にいると思いますよ。コヤマさん、お昼を食べるのが早くて、わたしが食堂に行く頃には歯磨きに行っているくらいで、そのあとすぐ戻るんです」
「そうなんですか。じゃ、行ってみます。第四事務室ですよね」


なんとなくついていったら、「案内してくださるんですね。ありがとうございます」と言ってくれる。天然だけど、天使という感じとも違うので、やっぱり妖精さんなのかな。


コヤマさんがお菓子を受け取って、どこかで話しましょう、とミーティングルームのひとつに入る。
少しお話していたら、献立アプリを使っているというので、なるほどと思った。1週間の献立を立てると、水曜と日曜くらいに何を買えばいいか出てくるので、「今日は買い物に行って何を買ったらいいのかな?」と悩むこともなく、効率よく食事の支度ができる。育ちざかりの男の子3人がいる天然子さんには大活躍のアプリっぽい。
ところが、天然子さんは「でもたとえば、今日はから揚げだって言ってるのに、誰かがから揚げよりハンバーグが食べたいと言ったりするんです」と言う。
コヤマさん「そういうときはどうするんですか。今日はから揚げだって言うんですか」
「面倒なので、作ります」――え、ハンバーグを?! 「もう面倒になっちゃうので、食べたいもの作ります」――え、3人プラス旦那さん、それぞれが食べたいと言うものをそれぞれに作ってあげるんですか?
コヤマさんは「えー、そうなんですか。すごいですね。さすが天然子さん」と感心する。わたしは、感心どころか、感動する。いいお母さんなんだなぁ。家庭の太陽だろうな。


コヤマさんは天然子さんに、「天然子さんのところに行くときは、私とさやさんとセットで行かなければならないと、我々は思ってるんで。今年のポッキーの日はふたりで行きます」
「そうなんですか(笑) おふたりでなければならないんですか」
「そうです。天然子さんは、我々がセットでいるのがお好きなので。今年のポッキーの日は、土曜日なので前の日の金曜日に行きますから。出張とか入れないでください」


コヤマさんは、そういうちょっとしたイベントや楽しみや冗談をたくさん散りばめて、職場の日々に遊びを取り入れるのが得意な人だ。
もし、無事にわたしのTime to Say Goodbyeの日がやってきたら、最後のポッキーの日になる。コヤマさんみたいな人がいる職場はあまりないだろうから。
でも、それでも、その日は来て欲しい。そう思うようになっていた。


その日の帰り道、職場の最寄り駅近くのファミリーマートで探索。あった、あった、〈一番搾り やわらか仕立て〉。


こんなのを売っていたよ、とビアパートナー シキさんに写真を送って知らせたら、「「小麦」のところに米印がついているのだけれど、その説明は写真では見えなかった。なんて書いてあるのか分かったら教えて」と言われたため。
え、米印なんてあった? というくらいのわたしだが、写真をもう一度見てみたらあった。そして写真で見える範囲にはその説明はなかったのだ。
ちょっとお借りして、缶を手に取り、側面や裏面を見てみると、あったあった、説明。「※麦芽の一部に小麦麦芽を使用しています。」だって。
その場でシキさんにメッセージと写真を送っておいた。後日、仕事の合間に写真を確認したらしいシキさんから、「※、あまりの(二人には)当たり前の注釈で(・_・)」という返信が来た。うん、わたしもその場で少しおかしかったよ。
手に取った缶は、買って帰ることにした。ついでに、〈Asahi DRY CRYSTAL〉も買ってみた。Instagramでいくつか投稿を見ていたからだ。よく見たら、Alc 3.5%なんだね。


この日は、電車を途中下車して、酒屋へ。普通の「地域密着の酒屋さん」て感じなんだけど、店主の甥っ子という店員さんがクラフトビール好きで、クラフトビールの品揃えがなかなかの酒屋。今はそういうところも増えているよね。
大好きなシキさんとやり取りができて気分がよかったので、可愛い缶のビールを買う。『open air』だ。
〈dragon’s breath〉はsmoked ipaと書いてある。〈electric forest〉はsansho lagaeと書いてある。


軽い家飲みの後に、天然子さんにいただいたお菓子を夫と食べた。


ごちそうさまでした。

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