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Status Message:周回遅れのビール日記(順不同)

終わりと、そしてまだ続く人

義父が他界した。


嫁のわたしも少しは夫の実家で何らかする。ま、大したことはしない。これまでの人生、お互いの実家とそれほど関わらず過ごしてきた。それでよし、としている。


通夜、葬儀、その翌日、夫と義母は家にいる間はテレビを見て野球の話ばかりしている。わたしでさえそこまでは聞かない(夫も求めているわけではないと思っている)夫の「見解」の話を、少し恋人風な媚びを見せながら聞いている義母。
勝手なわたしの思いで、媚びているのかどうか、気持ちは聞いたことはない。もともとそういう人なのかも。誰に対しても、心優しく笑ったり応じたりしてあげる人。
大昔、若い頃に読んだ、誰かの小説を思い出す。麻酔を開発した人。妻も母も(つまり嫁も姑も)どちらも麻酔開発の人体実験に身を挺し、嫁と姑の間で互いに嫉妬し合う。麻酔が効いているか確かめるために、意識のない姑の太ももをつねるのを見て、嫉妬心のような思いに苛まれる妻。姑は、自分は元気なのに、嫁は実験の後に体調を崩して家事も満足にできなくなると思っている。嫁は嫁で、夫は姑には軽い薬にしていて、若い自分には強い麻酔を試している。本当に夫の研究の役に立っている人体実験は、自分なのだという自負。
まぁ、そんな思いが渦巻いたりは、わたしはしない。もう年だし。
夫の実家にいる間に、15分前までは特に不機嫌でもなかった姑が、急に口を利かなくなった。明らかに「何か気に入らないことがある」という態度。これが**年前だったら、わたしは気にしていただろう。そして、後から怒ったりしただろう。でも今は平気。あれ~、なんか怒ってるのかな、ま、いっか。翌朝、普通に戻っていたけど、それはそれで、あら、戻ってる、ま、いっか。年齢を重ねると図太くなる。うっとうしいほどくよくよするし、ネガティブになりがちだし、自分はかなりナイーブな方だと思うけど、「ま、いっか」と思えるようになった。実害ないし。
わたしに果てしない悪意を向けてくる人というのは、実害があるから気になるのである。


父を亡くした時、わたしたち家族はお酒を飲んだ。母と姉妹たちで、父の思い出を語りながら、「これもあるよ」と母が出してくるお酒を飲んだ。飲んべえで大酒のみと人からも思われていた父を偲んで、父の話をしながら晩酌をした。
決して仲の良かった父ではなかったし、母と父は険悪な時期も長かった。でも毎晩飲んでいた父を偲んで飲むのは、手向けのようでたぶん全員が救われた。


でも夫と義母は、もちろんお酒は飲まないし、義父の話も一言も出ない。もしかしたらわたしがいては話せなかったのかもしれない。そう思うと、自分は邪魔かなとも思ったが、楽しそうに地元野球チームの話をしているので、会話にそれほど参加はしなかったが、その場にいるようにした。
いろいろな送る場面があるのだなと思った。


長いこと施設に入っていて、最後は病院にずっといて、家にいないのが当たり前だったからかもしれない。
義父がいない生活が当たり前になっているのだ。夫が帰ってしまったら、義母は寂しくなるのかもしれない。
一緒に暮らして家族のようになっているものではないので、あまり何もしなかった。


ただ、終わりは考えさせられた。
わたしは、まだもうしばらく終わることができずに生きているだろう。何が起こるか分からないけど、そういう「こんなことが起こるなんて」ということがなければ、まだ生きているだろう。
とはいえ、もうそう長くはない。長くはないけど、すぐでもない。
どうやって生きていくか、ふと考えた。どうせ先があるわけじゃない、くよくよせずに好きなように生きればいい、ふらふらと生きればいい、と思う。でも、すぐに旅立てるわけじゃない、行く末を考えないわけにはいかない、と考える。


友と再会した。
友は生き生きした老後を取り戻したいと、いろいろ考えているようだった。それはそうだ。人生100年と言われているのだもの。もともとこの人の生活は、ハレのイメージなのだ。


ぐるぐる、ぐるぐる、考えは回る――
わたしはどうすべきなんだろう?


そんなStage4の始まり……

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