Bittersweet Maybe - Bubble Talk -

Status Message:周回遅れのビール日記(順不同)

送別会(公式)


これがタカさんの公式の送別会ということになるのだと思う。もしかしたら、部署で行う送別会の方が、上級職も1人は来るわけだから公式とも言えるだろうけど、これも公式だ。なぜなら、正社員による送別会だからだ。
まだマスクが公式に外れていなかったこのご時世、全社を挙げての歓送迎会や、何人もの上級職もやって来る歓送迎会なんてない。正社員がこれだけ集まれば公式飲み会だと思う。だって、現場職の正社員なんて、出向を除いたら何人いるの?


場所はコヤマさんが選定。「私が遠隔地に異動が決まった時、私はこの店でタカせんせーと泣きながら飲みました。ここはそういう店なんです。遠隔地に行く時はここでお別れ会するんです」
そうなの。タカさんの初めての後輩だったというコヤマさんが決めたお店なら、タカさんも満足だと思うよ。コヤマさんに任せるよ。


一人また一人と集まってきて、全員揃った。いつも遅れてくるケイさんも、この日ばかりは遅れもわずか。


飲み物を頼んで、お疲れさま!!とグラスを合わせる。


タカさんの腕に輝いているのは、大枚をはたいて買ったという腕時計。今は職場を去ってしまった元上級職が、同じ部署となったタカさんに教えた高級時計。「時計にお金をかけるなんて考えたことなかったですが、話を聞いているうちに、それもいいなと思えてきて」とタカさんは言っていた。そして実際に0が5個もつく時計を買ったのだ。思い切ったことをする一面もある、意外にもルーズな一面もある、と知り始めたこの1年……知り始めたと思ったら、お別れ。


でも、諦めない。
BBFFシキさんとの素晴らしかった一年、その後のどん底の一年、いろいろなことを考えた。たくさん泣いて、たくさん苦しんで、たくさん泣いた。怒りもしたし、冷静に考えもした。
奮い立ちもしたけど、自分を取り戻して落ち着こうともした。
そうして立ち上がったわたしだもの。タカさんとの距離は広がっても、心が離れたわけじゃない。だとしたら、距離なんて何ほどのこともない。


――って、思っておこう。



焼き鳥が、あれもこれもと注文される。焼き鳥じゃないものもあるから、串焼きっていうのかな?
みんな、せっかくこの店に来たのだからと、際限なく注文する。
ここはそういうお店。特別な時にやって来る。だからここに来たら、何も気にしちゃいけないのだ。お会計が跳ね上がろうと、酔いつぶれようと、気にすんな!!



タカさんが異動について気持ちを語る。
聞く人、合いの手を入れてさらに語らせる人。その方がタカさんも話しやすいよね。さすが、絆の強い人たちだ。


しいたけの串がやってきた。おいしー!


そしてついに、日本酒が出たー!!
タカさんがこれを注文するなんて。タカさんはやはりお酒に強い。わたしは「酒に弱い」タイプ。ただたくさん飲むだけ。たくさん飲めるって意味では強いけど、つぶれないという意味での強さはない。


コヤマさんの認識では、「タカせんせー、日本酒出ましたか!」
そこまでいったかという境界線が日本酒ということなのかな。よく飲んできたけど、気づかなかった。他の視点が加わると面白い。理解が進みそうな気がする。


「さやさんも飲みますよね」
コヤマさんが言う。
まぁ、仕方ないか。タカさんの送別会だし。


ありがとうございます、とお酌してもらう。



焼きおにぎりがテーブルに届き、香ばしくてパリパリのおにぎりを口にほうばる。
タカさん、タカさん、大好きだなぁ。


遠隔地の後はきっと出世コース。上に行く人だもの。ということは、しばらく同じ土地で働くことはないですね――たぶん。
「人生には3つの坂があるんです。上り坂、下り坂、まさか」――まさに。初めて出会ったとき、初々しい若者だったゴッチンさんの名言。(ゴッチンさんが考えたものではないけれど、この職場でそれを言う人はゴッチンさんしかいないので、ある意味ゴッチンさん(が言うところ)の名言。
分かっていても動揺してしまうけど、でも、つまり「先は分からない」ってことだ。できることをやっていくことはできる。


これが最後にならないように、大切な縁をつないでいけるように、この何週間か何回も思ったことだけれど、できることをしていこう。


タカさんの前途に祝福を。

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