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Status Message:周回遅れのビール日記(順不同)

暗雲(シリーズ:翌4月からの仕事)

職場Aに存在する3つの階級。
正社員的スタッフ、契約社員的スタッフ(週5)、パート的スタッフ(週2~3)。
 
正社員的スタッフは、月給・ボーナスあり・退職金あり・昇給あり・昇級あり
契約社員的スタッフは、月給・ボーナスあり、その他なし
パート的スタッフは、日給、その他なし
 
正社員的スタッフはもちろんのこと、契約社員的スタッフもパート的スタッフも有給休暇はある。何日かは知らない。
 
わたしの立場は3つのうちどれでもなく、フリーランス的スタッフ。
フリーランス的スタッフは、4人しかいない。わたしと、わたしと組んでいる人。
別な科目で、わたしたちのようにフリーランスで来ている2人(この人たちはペアではなく、交代で仕事している。)
 
この職場Aも、翌4月からどうなるか不安定で、翌4月からの1年間が確保できても先行きは暗い――たぶんいずれフリーランスは廃していきたい意向。
そこにもってきて、職場Bもリストラされた。
 
どうしようかといっても、選択肢も少なくなってきた。
そんなときある方面から情報を得る――契約社員的ポストが1つ空く予定だとか。
 
めったなことではクビにならない契約社員的ポスト。しかもフルタイム勤務。
この職場はちょっと公的な色合いなので、生き馬の目を抜く外資系なんかと比べると、のんびりしている(その分、昔ながらの「会社は組織、組織は家族」的なところが残っていて面倒だったりするが)。
正社員的スタッフと比べて地位も福利厚生も地べたを這うほど低くても、契約社員的スタッフもパート的スタッフもめったなことでは辞めないのである。
 
「ポストが空くなんて、めったにないことだから、もし興味があったら」と親切で教えてくれた。「せっかくここまでやってきたのだから、この機会に契約社員的スタッフになっては?」と。
 
「なっては?」といっても、別にその人が人事でも管理職でもなんでもないので、「狙っては?」ということであって、面接に通るかどうかなど未知数。
 
この話を聞いて、それまでは興味のなかった「安定」が、急に素晴らしく思えてきたわたし。
今年の5月や6月頃には、まだ「契約社員的スタッフさんもパート的スタッフさんも、自由度がないし、わたしは今のフリーランス的でよかったなぁ」と思っていたし、親しい人にはそう公言していた。それが急速に籠絡された。
夏からこっち、わたしをこの方向に押し出すような出来事が続いたし、自分の年を考えるってものだ。
 
今や、職場Aの契約社員的ポストは、たいした能力も経歴も学歴もないわたしにとって、望みうる最高のポストに映る。
なりたい!!!
もうそれでいい! それがいい! それこそいい!! と堕ちるところまで堕ちた。
 
――考えてみればもう、今の仕事は自分を試されすぎて限界だった。年なんだし。言われたとおり、9時から5時まで仕事して、仕事が終わったら自分をリセット、趣味なんかにいそしんだりして自己実現する、そういう人生でいいな。
そうだ、それがいい、それしかない!
 
面接を受けて自分が選ばれるかどうか全然分からないけど、でももしだめでも他の同じような職を探そう。
 
・・・・・・でもね。頭では分かっていても、心では期待する。「ほかに面接を受ける人がいても、長年ここで働いてきたのだし、経験があるということでだいぶ有利じゃないだろうか」と。
 
いやいや、そんなことを考えてはいけない。謙虚な気持ちで受けなければ、得られるものも逃してしまう。
逸る気持ちを抑えようとするけれど、やっぱり心は期待する。
 
ところがここまで来て、どうも思っていたより暗雲は大きいと知った。
 
 
その1
居心地がいいのである。たぶん。
面倒なこと、嫌なこと、などもろもろあっても、結局はほかよりいいのだ。
だってものすごい愚痴や文句を言っていた人も、辞める気配はないもの。しかもその人は「辞めてやる!」という気持ちは本物で、道を模索していた。模索して、「やはりここに勝るところはない」と悟ったから、まだいるんだよね。
 
というわけで、なんとこの空き予定のポスト、狙っている人がたくさんいる。
まだみんなおとなしくして顔にも出さないでいるけれど、実は虎視眈々と狙っているのだそうだ。
誰とは知らない。1人だけ、あのパート的スタッフさんは狙ってそうだと分かる人がいるけれど。
 
考えてみれば、自分の都合で「私は週3日くらいで気楽に働きたい」という人でなければ、週5で地位も上の契約社員的ポストを狙うだろう。
 
 
その2
ポストが空くのは、定められた年限が来るからだ。
その点、公的っぽいところは厳格で、不公平にならないように年限は絶対だ。
 
ところがこの人は、ただの契約社員的スタッフではない。
正社員的スタッフだったが、定年を迎えて退職、契約社員的スタッフになった。職場Bでも相当偉くなった人は、そうしていた。
 
そう。部署にもよるけれど、わたしが狙っている部門の契約社員的スタッフに年限はない。(だからこそ、みんななりたい。)
でも正社員的定年後に契約社員的になった人には、年限がある。――まあ、そうでないとね。70代80代ばかりになってしまうから。本来契約社員的スタッフは、大変便利で働き者な召使いであって、正社員的定年後契約社員のようなお局的な人ばかりでは困るのだ。
 
しかし公的っぽいところだけにゆるくて、半年空けたらまだ契約社員的スタッフになれるのだそうだ。その人がやりたければ。
――たぶん、明文化されたルールでは希望しても職に就けない場合もあるのだろうけれど、実際のところは希望したのにあぶれることはないに違いない。
 
とすると、契約社員的スタッフになれても、半年後に「戻ってきたから」ということになる可能性もある。
――まあ、契約が1年だとしたら、1年後にはその人のために明け渡さなければならないかも。
 
 
その3
予算がない。だから誰も雇われないかも。
 
コスト削減が叫ばれている。
公的っぽいところは企業とは違うので、売上というものがない。
売上が上がれば予算も増えるということはないから、削減するとなったらカットしかない。
 
どこからカットするかといったら、当然それは正社員的スタッフ以外からになる。
そういうわけでわたしの仕事も、翌年度はなくなる(あるいは減る、いずれはなくなる)。
フリーランスがまずまっさきに切られる場所だ。当然だ。
 
そしてこういう空いたポストがあったときに、パート的スタッフや契約社員的スタッフを減らしていく。
誰かが辞めても補充をしない。そうすればモメることなく人件費を浮かすことができる。
 
 
 
うーん。
他の候補者との競争には勝てたとしても、ポストがなくなるという方向転換には勝てない。
 
その気になったのに、暗雲が広がっていることを知った。




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