Bittersweet Maybe

ただの日記を予定しています。金曜更新のつもりでいます。それ以外の曜日に小さな日記を書くこともあります。

雇い主の意識――スニファーを見ていて(シリーズ:仕事)

「ウクライナの私立探偵 スニファー」の一挙放送を録画したので、今頃、見た。

6話だったかな。
ニキータという子供が誘拐される話がある。
ニキータとシッターのカーチャが、フリスビー遊びをしているとき、誘拐されてしまったのだ。

ニキータの父親、コーノノフはあくどい手法で事業の取り分を拡大した人物。
コーノノフと、犯人イリューシンと、カーチャの父親が3人で運営していた事業の独占をもくろみ、拒絶したカーチャの父親を殺したらしい。
警察にとりあってもらえなかったカーチャは、コーノノフの元で働き、証拠集めをしていた。
イリューシンも結局、全財産を奪われ、肝臓移植が必要な妻のために、ニキータ誘拐を企てたのだった。
カーチャはたぶん、最初からイリューシンと組んでいたわけではないが、共感して脅迫状を届けるなどの手助けをしたようだ。

高圧的なコーノノフは、特捜局のビクトルやスニファーたちを信頼せず、身代金も勝手に払ってしまうし、2人の行動を探ってカーチャやイリューシンのところに一足先に乗り込む。(邪魔者を殺すため。)

まずはカーチャのところに、イリューシンの居場所を吐かせようとやってくる。
コーノノフは、カーチャの顔を殴り、倒れたカーチャを何度も激しく蹴りつける。
「仕事を与えてやったのに、この恩知らずめ!」





このあと、イリューシンを殺し、元妻(誘拐された子供ニキータの母親)を殺そうとしたところで、コーノノフ逮捕。
カーチャの証拠により、過去の悪事も裁かれるだろう。カーチャは情状酌量されるだろう(たしか)。
というように話は終わるのだが、この記事のテーマは、「仕事を与えてやったのに、この恩知らずめ!」である。

ここでわたしは、ああなるほど、と思ったのだ。

わたしが今感じている組織での理不尽さや扱いへの不満、その解答がこれだと思ったからだ。

今どきアメリカドラマでは聞かなくなったセリフ。
「役に立つと思うから雇う」 × 「自分にとっていい仕事だと思うから働く」
「役に立たないから解雇する」 × 「なんだとっ、ムカッ!」「Move on」

役に立つとか、自分にとっていいとかの内容は、有能さだけとは限らず、給料だけとは限らない。
いろいろあると思うけど、「雇っただけで大恩人」という時代は終わってしまった。少なくとも建前としては。

この考え方が、さすがに口には出されないけれど、強い組織なのだと思う。

なんていうかな。
普通の会社だって、それは多かれ少なかれあると思うんだけど、多いんだな。

普通は、仕事に対して能力があると判定されて入社が決まる。
でももちろん、(いい会社とか大きな会社とかなら)この会社で働けてよかったな、ありがたいな、と感謝の気持ちも抱く。それはラッキーな運命だけにでなく、自分を判定してくれた人事の人や上司に抱くことも、あるかもしれない。

この組織の場合は、「入れてくれた人」の割合が高いと考えられているわけだ。
それは直接面接をしなかったとしても、その採用に承認の印を押した上部の人も関わっているし、途中やたらと経ている人の手全部なのだ。
少なくともこの組織において、幹部クラスの人は、わたしの顔を知ろうが知るまいが、わたしにとって大恩人であるはずなのだ。
その下のクラスの人たちも、わたしを今の配置にしておくことに文句を言わないので、それだけで恩人ということなのだ。

この、素晴らしく立派な組織の、素晴らしく名誉な契約社員的スタッフでいられる、この幸福、この栄誉!!
なんと、非正規雇用の中では上の立場で、正規雇用の方々と同じに給料から寄付が天引きされるくらいなのだ。暗黙のうちに受けられはしなくても、セーフティドライブトレーニングの案内が送られてくるくらいなのだ。実際やらせてもらえることはないけれど、さる外部の委員会に選ばれて出かけていく『可能性』が同じくらいあることになっているのだ。
なんと、正規雇用の人たちが楽にお仕事できるように、正規雇用の人たちの仕事をある程度たくさん、受け持たせてもらえるのだ。正規雇用の人たちさえ出席してればよくね?的な会議に、ありがたくも出席させてもらえて、一言一句お聞かせいただけるのだ。ときには強制的に何かの会に参加させていただけて、「参加するなよ」というものも案内だけは同様にいただけるのだ。

給料が少ない? ――この恩知らずが!
給料少ないんだから、副業したい? ――この恩知らずが!
正規雇用との間に差別を感じる? ――この恩知らずが!
自分の労働も能力もこれまでの経験やキャリアも搾取されている気がする ――この恩知らずが!

仕事を与えてやったのに、この恩知らずが!

なるほど。

なるほど、そういうことかー!

なぜこうまで理不尽に感じるかというと、「そうだよ、差別があるんだよ、最初にちゃんと正社員の道を歩かなければダメなんだよ」という普通の会社でもなく、「え、あなたの分際でうちの末席に籍を持たせてもらえただけでも、ものすごく有難いでしょ? 当然そう思って絶大なる感謝をしてるでしょ?」という考えだからだ。

差があると分かってる。よかった、自分は正社員で。あんたらは馬鹿だな。と思ってる。
そのほうがましだってことだ。

「だって、世の中にはうちの組織に入れない可哀想な人たちがいっぱいいるんだよ。全身全霊で感謝して、全身全霊でうちの組織に尽くして当然でしょ? 無償?何いってるの、無償じゃないよ。うちに籍をおけてるだけで、素晴らしい光栄じゃないの。こんな素晴らしい利益を享受してるじゃないの」
と、心の底から、無邪気に、何のためらいもなく、だから悪気も嫌みもなく、素直にそう思われているほうが、たちが悪いってことだ。




なんだか、ネガティブな内容に受け取られそうな記事になったが、ポジティブではないにせよ、ネガティブというほどでもない。
物事は、ちゃんと理解できないと対処できない。

そういう考えだったんだな、と分かれば、自分をコントロールしていくこともできるかもしれない。
または、嫌になったとき辞めるという選択肢が浮かんだり、出来る限り仕事はほどほどにしておこうと配分できたり、方法を探せるかもしれないではないか。


だから知ることは大切なのだ。
だから今回の発見は、ネガティブとは違う。昨日までがネガティブで、今回の記事は、客観的考察だ。
――と、自分では思っている。






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