2025.02.10-02.11|月祝 ビア旅、伊豆高原へ ③旅館への道と温泉と食事
宿への道は、平和な道のりではなかった。
旅館の公式サイトによると、「シャボテン公園行きのバスに乗って池入り口で降りる」と書かれていた。
城ヶ崎海岸に行く前に、伊豆高原駅で「シャボテン公園行きってここだね」とバス停をチェックしていた。海岸から戻ってみると、人がかなり並んでいた。よく分からないけれどシャボテン公園というのが伊豆高原の大きな見どころなのかもしれない、みんなが行くのかな。
まずは、駅構内に戻って、コインロッカーに入れていた荷物を取り出す。トイレにも行っておこう。そして――
わたし「どうする? 列ができているし、タクシーで行く? そんなに遠くないみたいよ」
無駄遣いをしない夫「距離を調べてみないと。乗っちゃってから高い料金を出すことになったら困る」
ベンチに座って、周辺をマップで見る夫。ちなみに、無駄遣いをしない夫の携帯はプラン契約だけで、機体はわたしのお古の画面が割れたやつ。というわけで、自分ではインターネットにつなぐことができない。わたしのインターネット共有を使う。ところが、これが、わたしの画面がスリープになると切れてしまう。「つないで」と言われて、インターネット共有を開いてオンにする。
面倒な思いをして調べても、「道があるのかどうか分からない。この駅の方が近そうに見えるけど」と夫は迷っている。わたしはイライラし始める。そして、それを必死で抑える。
夫が「よく分からないからバスに乗ろう」と決断する頃には、行列は折り返して二重になっていた。こんなにいるのか、と夫。「乗れないかも」だが、タクシー乗り場にさっきまでいたタクシーはもう出払っていた。(だから早く決断していれば)
その上、わたしたちの3人くらい後ろに若者団体客が並んだ。
若者団体客は、既に満杯に近いバスに乗り切れない人数だった(12人くらいいた)。詰めに詰めて5人くらいしか乗れないのではないかというバスに乗り込もうとする若者団体客。そのうちのひとりが「僕ら関西から来てるんで、諦められないんで、**に行きたいんで」とか「もっと詰めてもらえませんか」とバスの後部座席に向けて身を乗り出して言う。別のひとりが「お前、ここに入れば?」「いい?」「おお」と会話。さらに別の若者が奥に向かってなじる。「もっと詰めろよ。ゆずりあいだろ! 奥、詰めろよ!」 もう少し冷静な若者が、「もう少し詰めてもらえませんか」と後部に向けて言い、先ほどの若者の発言を緩和しようとする。
結局、運転手さんは若者団体客を全員乗せるつもりで、「そこに立っていいよ」「その辺に入ってもいいから」と押し込んでいるので、他の乗客も何も言わないで待つ。
ようやく乗れたはいいのだが、バスの中はぎゅうぎゅう。そのぎゅうぎゅうのままで終点まで30分ほど行った。
そう、終点まで。30分。わたしたちは、3つ目くらいの停留所で降りると思っていた。しかし、目指す停留所の名前は案内に出てこなかった。
途中から夫は「おかしい」と言い出す。「池入口なんて全然なかった」
わたしはわたしでバス路線の経路を調べたりしているのだが、夫は距離を見なければダメだと言う。意見が合わない。
ネット共有がスリープによりいったん外れてしまったので、夫は調べられず、わたしもギュウギュウ過ぎて調べにくい。
終点まで行ったが、目指す停留所はなく、終点で降りるときに運転手さんに聞いたら「折り返しを待った方がいい」という返事。つまり、やはりこの路線には目指す停留所はなかったということ?
宿のページで「シャボテン公園 ぐらんぱる公園行きバス 池入口下車」と書いてあったのだが、シャボテン公園に着いてしまったが、そんな停留所はなかった。
夫は急行だったのではないかと言う。不機嫌。
わたしも不機嫌だが、なんとかイライラを抑えようとしている。夫もそれなりに抑えようとしている。
折り返しは15分くらい待てば来るようだったので、伊豆高原駅に戻る途中に池入口があったら降りようと思うわたし。夫はそんなわたしに、「とにかく伊豆高原駅に戻るべきだ。戻らないと判断のしようがない」と言う。
バスが来て乗ったが、今度は来たときとまったく違う道を通っていたので、目指す停留所は現れなかったし、どこを通っているかも分からなかった。意味が分からない。理由も分からない。どうしたらいいかも分からない。
とにかく夫は降りようと言い、ベンチでマップを検索していた。わたしは駅やバスや宿のページをもう一度見ていたが、夫は「距離が分からないと」と言い続ける。タクシーに関しては、距離が分からないと料金の予測がつかないので、まずマップで見ると言う。わたしは「タクシーに聞いてみようよ」と言っている。
結果は、夫はマップでは小さい道まで載っていないので電車などで自力で行けるか分からない、タクシーに乗ろうと結論。わたしは、それなら最初にタクシーで行っていれば。また、ここに着いたときにすぐにタクシーに乗り換えていれば。とストレスフル。険悪になって旅行が台無しにならないよう必死で抑えるから、さらにストレス加算。
チェックインの15時には宿に着いて、そこからはのんびり。気兼ねなく部屋の露天風呂に入って、ひたすらゆっくり。その楽しみがどんどん削られていく。
宿に着いたし、部屋に落ち着いたけど、すっかり夕方になっていて不満な気持ちは治まらなかった。
宿は、テーブルや椅子がない昔ながらの旅館だったので、それもわたしのがっかり感に加算となった。小さくてもいい。椅子に座ってテーブルでノートパソコンを開きたかった。のんびりするのだから、お風呂に入って、ノートパソコンで見たければ映画やドラマを見て、書きたければ日記や頭の整理メモを書いて、好きなように過ごすはずだったのに。
わたしのがっかり感は、長いこと続いた。自分なりに気持ちを落ち着けようと努めて、少しは成功していたけれど……
この旅館は全室に露天風呂がついている。家族風呂がひとつあり、予約方式ではなく、「入る時は鍵をかけてください」&「鍵が開いていたら使用OKです(誰も使っていないってことだから)」という方式で利用できる。というわけで、大浴場はない。シャンプーなども露天風呂のあるベランダに置かれていた。これは有難いな。
客室は森に面していて、森にはりすがいるという。木々をりすが行き来しているのが見えると思うと説明された。
夫はイライラすることなど何もなかったかのように、旅館について語ったり、置かれていたお茶菓子がおいしいと言い、なんていうお菓子か聞いてみようと言っている。そして、風呂好きなので、さっそく露天風呂に入ったりしていた。
切り替えが早くていいね。わたしは自分の気持ちを持て余す。ゆっくりのんびりするために15時に着いてすぐにチェックインして、露天風呂を楽しむはずだったのに、1時間以上遅れてしまった。バスがいっぱいだったとき、すぐにタクシーにしようと夫が決断できたら15時に着いていた。バスの中でも、わたしが路線検索をするのに対し、それを調べても仕方ないと指示をしていた。自分でやれば、と思うし、やれないんだよねネットつながらないから、と思う。折り返しのバスに乗ったのに、違う場所を通っていて停留所はなかった。ただ、わたしは思うのだ。伊豆高原駅から先も行程があるようだった。そのまま乗っていたら着いたのではないかと思う。先に行く前に運転手さんに聞いてみようと思ったが、夫はとにかく降りなければ話にならないと言った。かといって、すぐタクシーに乗るわけでもなく、マップを見ているが結局、電車→徒歩で行けるのか分からないままに終わった。そんなことをしているうちに、タクシーは出払って乗り場に見当たらなくなった。
ようやくタクシーにお金を払うことに同意の気持ちになったようで、トイレに行くと言う間にタクシー乗り場に1台のタクシーが来るのを見て、わたしはすぐに乗り場に行って確保しようとした。
夫の節約志向はわたしをイライラさせることが多い。
夫は夫で、わたしの浪費癖にイライラしたり、夫が思うような行動を取らないことにイライラしたりするのだろう。
イライラしても、ムカムカしても、怒りが渦巻いても、すぐに爆発させないことは夫もできるようになった。ずっと言い続けないことがわたしもできるようになった。
だから今も、表面は平和にできている。けれど、心の内はガサガサしている。夫はどうか分からない。
でも、このままではもっとがっかり感が募り、それこそせっかくの旅が台無しになる。
いい面もあると思っている部分を大きくし、なんとか荒れた思いを心の地下に押し込めた。いい面とは夫のいい面ではなく、出来事のいい面。たとえば、旅行に賭けすぎて、「旅の間は何も考えないでゆっくりのんびりする、簿記の勉強でなく好きなことをしていい、その後は頑張ろう」なんて思っているのに帰宅してから予定通り頑張りきれなかったら、挫折してしまう。今度こそ、挫折したらリカバリーの時間はない。大きく賭けないことも大切だ。
とか、そんな感じ。
わたしもお風呂に入ることにし、外を眺めた。りすは見当たらない。
夫は自分が入ったときにわたしを呼び、「あそこにいる」と教えてくれたが、木々の間を動くものを見つけるのは難しかった。そもそも動いていないのだ。すすすすっと移動し、じっとしている。「どこ?」と思ったときにはもういない。
夫は「葉っぱが動くからすぐに分かる」と言う。でもよく分からなかった。まぁ、いいか。
夕食は個室でいただいた。夫はおいしい料理だと言い、気に入っていた。よかったね。
夫がウィスキーのロックを頼んだし、わたしはビールのページを見てみた。伊豆の地ビールだと旅館の人は言っていた。伊豆高原ビールかな。だとしたら、これまでの伊豆旅でほとんんど飲んだのじゃないかな。旅館だけでなく売店でも買っていたし。
ところが、メニューを見てUNTAPPDで調べてみると、飲んでいないビールもあった。え! 驚き!! 勝手に諦めていただけに、初体験に大満足。
夫が頼んだウィスキーのロックにも驚いた。飲んでいるグラスを見て、「水割りにしたの?」と聞いたところ、「ロック」という答え。量、多いね。「うん、でも、ロックの濃さ」と言うので飲ませてもらったら、本当にウィスキーの味がロック並の濃さだった。お得だね。
飲んだビールは、〈USAMI SS(セゾン)〉と〈ブラック(スタウト)〉。
メニューに「伊豆の地ビール」というラベルの画像があったけど、これは『宇佐美麦酒製造(USAMI BEER)』というところのビールらしい。
めがねを持たずに暗めの照明で雰囲気を出している個室食事処に行ったため、文字がよく見えなかった。書いている今、写真を見て確認している。
おいしかった。ごちそうさま。
しっかりしたお肉があったので、ビールを飲み終わった後は、わたしも別のお酒をいただくことにした。
夫のロックがとてもたっぷりだったので、焼酎ロックにした。確か、ちょっと特別感のある焼酎だったんだけど。日本酒の何かを使っていたような・・・・・・。こちらもたっぷりの量で満足だった。けど、酔いすぎないようにゆっくり飲むと終わらなくて大変だった。
ごちそうさま。
寝る前にもう少しお風呂に入りたいよね。
To be continued…