Bittersweet Maybe - Bubble Talk -

Status Message:周回遅れのビール日記(順不同)

The Moment with Beer

12月に入った。


4月。いわゆる「年度当初」の頃は、わたしはまだ自分自身を保つことを気遣っていた。
たとえばそれは、わたしは美人ではないし、スタイルもよくないけれど、自分の好きな服でコーディネートすること。服に合わせた靴を履くこと。白髪が目立ちすぎないようにケアすること。髪があまりにボサボサにならないうちに美容院に行くこと。太りすぎたら少し頑張って服が着られるように戻すこと。手がガサガサのおばさんの手に見えないように、ハンドクリームを塗ること。いい香りのヘアミストやハンドクリームを使うこと。
それからたとえば、ティッシュやウェットティッシュを常に持っていて、必要があったらすぐに出せること。仕事場では少しランクを落としたハンカチを使うが、それ以外の時間用にかばんにはわたし好みの柄のハンカチを入れていること。毎朝、今日はどのネックレスにしようか、服や気分に合わせて決めること。
なるべく綺麗に歩くこと。あまり自信なさげにならないように毅然としていること(そこまで頑張って、ようやくちょうどいいくらいの自己卑下がある)。心を穏やかに豊かに保つ努力をすること。


でも、マスク生活だから香りなんてどうだっていいし、人と近い位置で話をすることも前ほどないから、頭頂部の白髪も見えにくくなっているし、わたしの服なんて気にする人はいないし……要するに、「何もかもどうだっていいんだ」的な気持ちに落ちやすくなっていった。
ビア友がいなくなり、人と親しく会ったり話したりする機会は半減した。「減った」のではなく、「半減」――半分以下に減った。



年末に、もしかしたら懐かしい友に会うかもしれない。その計画が本当に実行されそうだとなって、わたしはちょっと自分を取り戻した。
ひとり飲みして「もう1軒!」と思って次の店に移動している途中で、酔ってロクシタンに入り、初めて見る香りのテスターをいくつか試した。そして、いいと思った香りのハンドクリームを買ってしまった。
洋梨とローズの香り。「洋梨の香りは感じない」という人が多かったが、もともとロクシタン好きのわたしから言わせると、「ロクシタンのローズのハンドクリームは香りが強い。ローズの香りのわたしの苦手な部分を、洋梨の香りが中和してくれている」と思う。洋梨をそれほど感じないかもしれないが、洋梨がなければローズ特有の香りがもっと強く出ていて、これとは全然違う香りなのだ。



まだまだ女性らしさを忘れない職場の友人が、ネコの顔のどら焼きをくれた。可愛い。その人は1年以上かけて、美しくスリムな体を手に入れていた。


いきなり全部は取り戻せない。太った体は、この年齢では戻すのは至難の業だろう。膝が痛くなったりしているので、靴に至るまでのコーディネートは難しいし、歩き方もよちよちしている。
でも少しだけ、華やいだ女性らしい気分を取り戻した。ほんの少しだけ。


だからこの日はフルーティーなビールの日。



オレンジの味わいがおいしい『Sierra Nevada』〈SUNNY LITTLE THING〉で幕を開け、〈ももふわIPA〉からしっかりした桃フレーバーの『FAR YEAST BREWING』〈PEACH HAZE〉へ。


「女子」を取り戻そう。ほんの僅かでも。
まずは再会を目指して。

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