人とのつながり、ビールのあるその時に
ビール工房に寄る。そんなつもりなかったのに、つい寄ってしまい、1杯注文してしまう。
今日はこの1杯で帰ろう。そう思って少しゆっくり飲む。
飲んでいたら、声をかけられた。「お姉さん」
お店のいつものスタッフさんだった。気さくに話してくれるスタッフさんだ。クラフトビールの話をよくする。
お店のビールショーケースに入っている販売用ビールについても話したりする。この前買ったのがおいしかったとか、このブルワリーは好きなブルワリーだとか、このブルワリーには行ったことがあるとか。
少し前に、『反射炉ビヤ』のパイナップルの入ったビールの話を聞いた。「僕はパイナップルはよく分からなかったです」と言っていた。
「これ」と少しだけ入ったプラカップを渡してくれた。そのパイナップルビール、「もう一度試してみようと思ってるんです」と言っていたが、わたしが来た時に試してくれたようだ。ありがとうございます!!
慎重に飲んでみた。んー。
後からお兄さん、また来てくれて、「どうでした?」
「言われてみればという気もするけれど、パイナップルよく分かりませんでした」
「少し分かりました? じゃ、やっぱり入ってるのかな。僕は全然分かんなかったんですよ」
わたしのも気のせいですよ、暗示にかかりやすいから。
「そろそろ飲もうと思ってたので、今日来てもらえてよかったです」
ありがたいなぁ。なんか、こうして誰かとつながれる。
話しかけてくれたり、見知ったりしてくれる。
人とのつながりがありがたい。ごちそうさまでした。
別の日。
帰るとき、オーワンさんと一緒になった。オーワンさんはいつも帰るのが早いので、わたしが頑張って早く出たのだが。
オーワンさんは歩いても帰れる。でも駅まで一緒に歩いてくれて、その間話すときもある。お母さんとふたり暮らしで、たまにわたしの帰りがけの1杯につきあってくれる。つきあえないときは、「今日は帰るわ」と帰って行く。
この日は歩きながら話をして、オーワンさんはわたしの乗換駅近くで買い物をして帰ると言って降りた。じゃ、わたしはビール工房にでも行こうかな。
エスカレーターのところで、じゃあまた次の出勤日にね、と別れようとした。
「飲んでくの?」「1杯だけ、軽くね」「しゃ、つきあうか」
え、いいの? 買い物して帰るんでしょ? 「まあ、それはまた今度でもいいからさ」
たぶん、歩きながら話したことなどが、たまたま少し盛り上がったのだと思う。
「1杯だけね」
でもきっとオーワンさんの1杯の間にわたしは3杯くらい飲むんだろうな。今日はオーワンさんも話してもいい気分らしいし、いつもより若干ゆっくり飲むかもしれない。それなら「平日限定5杯で2000円」にして、1杯をオーワンさんに飲んでもらい、わたしが4杯飲もうかな。
1杯分の400円だけもらうことにする。普通に飲む680円くらいより安い。「いいの?」いいよー。
仲良くしてくれてありがとう。
ふらっと話に行くわたしをそのまま受け入れてくれて、ありがとう。
今日もごちそうさま。笑って話せて楽しかった。
またね。