Bittersweet Maybe - Bubble Talk -

Status Message:I am strong enough

聞きたくない言葉

とても上品な70代の女性がわたしのある話に反応してコメント。
「認知症の方がいろいろ話しておられるTV番組を見ました。たとえば「認知症にならないために・・・」という話などにも差別を感じるとおっしゃっていました。あ、そうだよね、と思いました」
 
わたしも思う。
「乳がんは、早期発見すれば治る病気です」という、検診を受けましょうCMなど、見たくない。
 
『差別』というふうに感じたことはなかったけれど、面白くなかった。
 
早期発見しなかったから治らない、と言われているみたいで。
なぜ早期発見できるよう、検診をしなかったのかと責められているみたいで。
今さら言っても始まらないので、過去を後悔するより考えないことにして、前を向いてとにかく進行を食い止めることを考えようとしているときに、責められているみたいで。バカだと言われているみたいで。
 
 
 
わたしは何度も言ってるけどTV(地上波)を見ない。まったく見ない。自宅では1秒も見ない。
実家に帰ったときは、ついているから嫌でも目や耳に入ることになるけど。
だからとにかく、何も知らない浦島太郎なのだ。
 
だから知らなかったけれど、乳がんになった女性が子供を遺して亡くなる映画か何かをやっているのだそうな。
健康な人にとっては感動の話かもしれないし、乳がんになっている人でも感動したり励まされたりする人がいるのかもしれないが、Iは見たくないそうだ。
 
映画を見たくないのはもちろんのこと、宣伝も見たくない。
「乳がんで」「亡くなった人」の話など、「自分はもしかしてあと1年くらいしか時間がないのでは?」と切実に思ってしまっている時期に、まったくもって聞きたくない。
 
わたしも見たくないし、聞きたくない。そんな映画。
その映画の宣伝さえも。
 
 
 
ここ何年か、正月に実家に帰ると、Iとアウトレットに行くのが恒例になっていた。
でも今年は行かないのだと言う。
 
初詣は行くこともあれば、行かないこともあるが、今年は行かなくてもいいのだと言う。
とにかく元日などには行かないと言う。
 
「だってどこに行っても家族連れが楽しそうにしてるのでいっぱいでしょ」
 
自分の未来を諦めていなかった頃はそこまで言わなかった。
可能性はかなり低いとはいえ、自分の伴侶を諦めきれていなかった頃は、そこまで言わなかった。
 
だってIは60になったら、70になったらということも話していたし、Iらしく楽観的に「治療している」と思っていた。
縁結びのお参りにも行くし、出会いがあればいいと思っていた。
 
だけどIの中で、去年の新しい薬騒動(そして周囲のセカンドオピニオンゴリ押し騒動)は、何かを変えてしまったらしい。
ちょっと悲しい諦めの方向に。
 
自分の家庭を持つ人たちが、ファミリーで楽しく出かけてきている様子を見ると、心が痛むところに来てしまったんだなと思う。
わたしなんて心が狭いから、とっくに痛みまくっていたけれど。仲良くしてくれるブロ友さんのブログの孫話さえ苦痛でたまらないけど。もう何年も前から。
 
心温まるとしか思えないような、楽しいご家族の話が、可愛いお子さんのエピソードや写真が、つるぎのように鋭く感じられるんですわ。
 
・・・・・・って、言えたらなぁ。
 
だからごめんなさい、見ないときがあるかもしれないんですよ。
 
・・・・・・って、言えたらなぁ。
 
 
そしてIの周りからは、持ち得ないとしか思えなくなった幸せな光景を、全部消してあげられたらいいのに。





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