Bittersweet Maybe - Bubble Talk -

Status Message:I am strong enough

新しい薬――その後

新しい薬が効いているようで、腫瘍マーカーの数値も下がったし、ひどかった患部表面が綺麗になったというので、喜んだ。
 
安心すると、心がどれだけ楽になることか。
自分の将来を考えたり、やりたいことをやろうと考えたり、前向きになる。やろうという気になる。
 
夏は薬が効かないのではないかということ、新しい薬になるということ、それはもっと抗がん剤らしい抗がん剤で、またしても髪が抜けたりすること、こうしてどんどん悪化していくのかと思えることで、ひどかった。
周囲がまた、いらぬおせっかいをしてくれるためにIの気分が落ち込むことが多くて、離れていながらやきもきした。
 
でもいよいよ新しい薬が始まって、それが効いているようなので、Iももちろん気を持ちなおすし、わたしも穏やかな気持ちになった。
 
本当に良かったな――と思った。
 
だけど冬を前に、「効いていない気がする」とIが言い出し、でも腫瘍マーカーの数値は下がっているのにどうして?そんなことはないんじゃない? やっぱり効いてるんじゃない?という事態に。
それでもまだ、周囲は分かっていなかった。Iもそれほど詳しく言わなかったせいもある。
 
始めたばかりの薬だ。長く続いてほしかった。
3週間のうち2週間までが投薬で具合の悪い週末でも、思ったほどひどい状態にならなくて良かったと思えていた。(具合が悪くなるのは投薬後2~3日。ちょうど週末なので仕事をこなすのがそれほど大変ではない。またたとえば投薬の日、夜に具合が悪くなるが、翌日は朝から具合が悪いというほどではないらしい。夕方になると具合が悪くなる。だからなんとかなる。残業なしで仕事をしたり、遅くならないうちに軽く出かけたりはできる。)
 
だけど本人は、かなり思い悩むことがあったのだと年末年始の帰省で分かった。
 
よくよく聞けば納得だった。
最初は確かに効いていた、でも・・・・・・なんかそれほどでもなくなってしまったのかもしれない。どうやらそういうことらしい。
 
浸出液も減り、膿んだようなニオイもなくなり、薬品のニオイになっていた。
痛みもほとんどなくなっていた。
 
それが、浸出液の量が増え、またニオイがしはじめ、痛みも戻ってきた。
 
綺麗になったと思う部分はまだ綺麗だけれど、2ヶ所だけ、少しずつだけれど大きくなり続けているしこりがある。たぶん、そこが原因なのだ。
 
年末年始は病院のそういった投薬も休むので、普段「やって、やって、休み、やって、やって、休み」という3週のうち1週休みのサイクルが、2週休みになっていた。
そうしたら、少しずつ大きくなっているようだった箇所が、ものすごく大きくなってしまった。
浸出液は大変なことに。痛みは常に痛み止め薬を飲んでいるほど。薬が切れると痛くなる。
 
なんていうことだろう。
せめてもっと長く効いていてほしかった。
 
こんなふうに薬を使い続けていったら、使える薬がなくなってしまう。
一度使った薬は、もう使わないようだからだ。
 
なんかショックな年末年始だった。
どうか効いてくれと思う。やむを得ず違う薬に変わるとしても、今度こそ長く、そしてよく効いてほしいと願う。




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