悪いこと
Iのことを書くのはいつも迷うところだった。
もし最悪のことがあったら、書いていた記憶や、記事も記録として残るし、つらいのではないかと思うからだ。
でも、そんなことを心配するのはよくない。
だってまだまだ頑張って何年も生きてくれるはずなのだから。
――そんな言霊信仰みたいな気持ちもあって、書いていた。
最近は、書けなくなってきた。
一歩、また一歩とガッカリする方向に進む。
そんなものなんだろう、病気なんて。
また悪いことが起こった。次の一歩。
どうか次の薬が効いてくれますように。
Iから聞く医師の様子が、以前より猶予なしという感じがして、悪寒がする。
でもまだ終わりじゃない。
でもまだ最後のステップじゃないはずだ。